住宅ローン控除は2030年まで5年延長|令和8年改正の借入限度額・13年・床面積40㎡を完全解説

相続税・贈与税

父母や祖父母など直系尊属から住宅の取得資金の贈与を受けたとき、一定額まで贈与税が非課税になるのが「住宅取得等資金の贈与税非課税の特例」です。省エネ等住宅なら最大1,000万円、一般住宅でも500万円までが非課税となります。

この特例の適用期限は令和8年(2026年)12月31日です。令和8年度税制改正でも延長は示されておらず、令和9年(2027年)1月1日以降の贈与は原則として対象外となる見込みです。資金援助を予定している場合、2026年中に贈与・取得・居住まで完了させる必要があり、年内の駆け込み対応がポイントになります。

本記事では、非課税限度額の区分、見落としやすい要件、暦年課税・相続時精算課税との併用パターン別シミュレーション、そして「翌年3月15日まで」の期限の罠まで、計算例つきで実務目線に整理します。

目次
  1. 制度の概要と2026年末の適用期限
  2. 非課税限度額(省エネ等住宅1,000万・一般500万)
  3. 「省エネ等住宅」の3つの基準
  4. 受贈者(もらう人)の要件
  5. 住宅の要件(床面積・中古・増改築)
  6. 翌年3月15日までの取得・居住という期限の罠
  7. 暦年課税・相続時精算課税との併用
  8. 併用パターン別シミュレーション(計算例)
  9. 相続時精算課税の60歳未満特例
  10. 申告手続と必要書類
  11. まとめ

制度の概要と2026年末の適用期限

この特例は、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母・祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住用住宅の新築・取得・増改築等の資金を取得した場合に、一定額まで贈与税が非課税となる制度です。

令和8年末で終了予定(延長の明示なし)

適用期限は令和8年(2026年)12月31日です。令和8年度税制改正大綱でこの特例の延長は示されておらず、令和9年(2027年)以降の贈与は原則として対象外となる見込みです。贈与だけでなく翌年3月15日までの取得・居住まで要件となるため、年内のスケジュール管理が重要です。

非課税限度額(省エネ等住宅1,000万・一般500万)

非課税限度額は、贈与を受けた人ごとに、取得する住宅の種類で決まります。注意点は「贈与する人ごと」ではなく「贈与を受ける人ごと」に判定することです。

住宅の種類 非課税限度額
省エネ等住宅(質の高い住宅) 1,000万円
それ以外の住宅(一般住宅) 500万円
過去にこの特例(または旧非課税制度)の適用を受けて非課税となった金額がある場合は、その金額を控除した残額が非課税限度額となります(一定の場合を除く)。

「省エネ等住宅」の3つの基準

1,000万円の非課税枠が使える「省エネ等住宅」とは、次のいずれかの基準を満たし、住宅性能証明書など一定の書類で証明された住宅をいいます。

性能 基準
省エネ性能 断熱等性能等級5以上 かつ 一次エネルギー消費量等級6以上
耐震性能 耐震等級2以上 または 免震建築物
バリアフリー性能 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
令和5年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または令和6年6月30日までに建築された住宅については、経過措置として旧基準(断熱等性能等級4以上 または 一次エネルギー消費量等級4以上)でも省エネ等住宅とみなされます。

受贈者(もらう人)の要件

項目 要件
続柄 贈与者の直系卑属(子・孫など)。配偶者の父母・祖父母は対象外
年齢 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
合計所得金額 2,000万円以下(床面積40〜50㎡未満は1,000万円以下)
居住 日本国内に住所があり、翌年3月15日までに居住(確実な見込みを含む)
過去の適用 原則として過去に旧非課税制度の適用を受けていないこと
取得先 配偶者・親族など特別の関係がある人からの取得・請負でないこと

住宅の要件(床面積・中古・増改築)

区分 主な要件
共通 床面積40㎡以上240㎡以下、2分の1以上が居住用、日本国内
中古住宅 新耐震基準に適合(昭和57年以降建築の家屋は適合とみなす)
増改築 工事費100万円以上、うち2分の1以上が居住用部分、証明書類あり
床面積40㎡以上50㎡未満の住宅で特例を使う場合は、合計所得金額が1,000万円以下であることが必要です。50㎡以上であれば2,000万円以下まで使えます。

翌年3月15日までの取得・居住という期限の罠

この特例は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された資金の全額を充てて住宅を取得し、居住する(または確実に居住すると見込まれる)ことが要件です。ここに実務上の落とし穴があります。

取得の形態 翌年3月15日までに必要なこと
新築(注文住宅) 屋根があり土地に定着した建造物として認められる状態(棟上げ等)でも可
建売住宅・分譲マンション 引渡しを受けていることが必要(契約だけでは不可)
建売・分譲は「引渡しベース」で判定されるため、契約が間に合っても引渡しが翌年3月15日を過ぎると適用できません。完成・引渡し時期から逆算して贈与のタイミングを決める必要があります。

暦年課税・相続時精算課税との併用

この非課税枠は、贈与税の課税方法(暦年課税・相続時精算課税)の控除と併用できます。非課税枠で控除しきれない残額に、それぞれの基礎控除・特別控除を重ねられます。

課税方法 重ねられる控除
暦年課税 基礎控除110万円/年
相続時精算課税 基礎控除110万円/年 + 特別控除2,500万円

併用パターン別シミュレーション(計算例)

非課税の上限イメージは次のとおりです(省エネ等住宅・暦年課税の場合は1,000万+110万=1,110万円まで非課税)。

組み合わせ 非課税の上限
省エネ等住宅(1,000万)+暦年(110万) 1,110万円
一般住宅(500万)+暦年(110万) 610万円
省エネ等住宅(1,000万)+精算課税(2,500万+110万) 3,610万円
一般住宅(500万)+精算課税(2,500万+110万) 3,110万円
計算例:祖父から1,500万円・省エネ等住宅・暦年課税

1,500万円 − 1,000万円(非課税)= 500万円
500万円 − 110万円(基礎控除)= 390万円(課税対象)
390万円 × 15% − 10万円(特例税率)= 贈与税48.5万円
※特例税率は、直系尊属から18歳以上の人への贈与に適用される税率です。

計算例:母から1,200万円・一般住宅・暦年課税

1,200万円 − 500万円(非課税)= 700万円
700万円 − 110万円(基礎控除)= 590万円(課税対象)
590万円 × 20% − 30万円(特例税率)= 贈与税88万円

精算課税は一度選択すると暦年課税に戻せません。将来の相続まで見据えた選択が必要なため、暦年課税との有利不利は慎重に判断してください。

相続時精算課税の60歳未満特例

相続時精算課税は通常、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選択できます。ただし、令和8年12月末までに住宅取得等資金の贈与を受けた場合は、特例として贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できる場合があります。若い親からの住宅資金援助でも精算課税を使える点は、覚えておきたいポイントです。

申告手続と必要書類

この特例は、納税額がゼロになる場合でも贈与税の申告が必須です。申告しないと特例は適用されず、本来の贈与税に加えて無申告加算税が課される可能性があります。

項目 内容
申告期間 贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日
主な書類 贈与税申告書、戸籍謄本、契約書の写し、住宅性能証明書等
提出先 納税地の所轄税務署(e-Tax・郵送も可)
この記事のポイント
  • 適用期限は令和8年(2026年)12月31日。延長は示されておらず年内対応が重要
  • 非課税限度額は省エネ等住宅1,000万円・一般住宅500万円(受贈者ごとに判定)
  • 受贈者は18歳以上・合計所得2,000万円以下(40〜50㎡未満は1,000万円以下)
  • 翌年3月15日までに取得・居住が必要。建売・分譲は引渡しベース
  • 暦年110万・相続時精算課税2,500万+110万と併用可能
  • 精算課税は60歳未満の親からでも選択できる特例あり。申告は非課税でも必須

※本記事は作成時点の法令・国税庁および国土交通省の取扱いに基づく一般的な解説です。適用期限や要件は今後の税制改正により変更される場合があり、適用にあたっては個別の事情により取扱いが異なることがあります。具体的な判断は国税庁の最新情報の確認および税理士へのご相談をおすすめします。

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