事業所税は申告納税方式の税目で、申告と同じ期限までに自分で納付する必要があります。納付手段は、従来の納付書に加え、eLTAX(地方税共通納税システム)による電子納税、令和5年4月から始まったクレジットカード・スマホ決済など多様化しています。本記事では、それぞれの納付手段を手順レベルまで掘り下げ、延滞金の計算方法や徴収猶予まで含めて、実務で迷わないように解説します。
納期限:申告と同じ「事業年度終了後2か月以内」
事業所税の納期限は、申告期限と同じく事業年度終了の日から2か月以内(個人は翌年3月15日)です。法人税のような申告期限の延長制度はありません。法人税を延長していても事業所税は2か月以内のままなので、「法人税の申告に合わせていたら事業所税の納付が遅れた」という事態を防ぐ必要があります。
納付手段の全体像
| 手段 | 手数料 | 領収証書 |
|---|---|---|
| 納付書(窓口・金融機関・コンビニ) | なし | 出る |
| eLTAXダイレクト納付 | なし | 出ない(結果通知で確認) |
| ペイジー/ネットバンキング/ATM | 金融機関により異なる | 出ない |
| クレジットカード | システム利用料あり | 出ない |
| スマホ決済アプリ(eL-QR) | 原則なし(アプリによる) | 出ない |
① 納付書による納付(窓口・金融機関・コンビニ)
紙の納付書を使う従来の方法です。納付できる場所は次のとおりです。
- 都税事務所・市区町村の窓口
- 金融機関の窓口(指定金融機関等)
- コンビニ(バーコード付き納付書で、金額が一定以下などの条件を満たす場合)
② eLTAX(地方税共通納税システム)の手順
eLTAXの共通納税は、電子申告データと連動して納付できる仕組みです。手続きは大きく3ステップです。
- 納付情報発行依頼:電子申告済みの申告データを選ぶ(または納付用の基本情報を手入力する)ことで、納付情報の発行を依頼します。
- 納付情報の受取・確認:ポータルセンタから発行された納付情報(収納機関番号・納付番号等)を受け取り、内容を確認します。
- 納付:受け取った納付情報をもとに、ダイレクト納付・インターネットバンキング・ATM・クレジットカードなどで納付します。
ダイレクト納付(事前の口座登録が必要)
ダイレクト納付は、事前に登録した金融機関口座から地方税を直接引き落とす方法です。振替のための手数料はかかりません。利用には口座情報の事前登録が必要で、地方税共同機構のダイレクト納付口座振替依頼書を金融機関に提出(郵送)して登録します。登録後は、PCdesk等から口座を指定して納付できます。
ペイジー・インターネットバンキング・ATM
発行された納付情報(収納機関番号・納付番号・確認番号)を使い、ペイジー対応のインターネットバンキングやATMから納付します。金融機関により利用可否や手数料が異なる場合があるため、利用する金融機関に確認してください。
③ クレジットカード・スマホ決済(令和5年4月〜)
令和5年4月1日から、地方税共通納税システムでクレジットカードとスマホ決済アプリでの納付が可能になりました。窓口は地方税お支払サイトと、納付書の地方税統一QRコード(eL-QR)の読み取りです。
地方税お支払サイト
地方税お支払サイトでは、eLTAXの利用者IDでログインして使うこともできますし、ログインせずに納付書の情報を入力して納付することもできます。ログインすると、利用届出で登録した口座情報やメールアドレスを引き継いで使えます。
eL-QRが使えるケース・使えないケース(重要)
スマホ決済アプリでの納付はeL-QRが必須です。ところが、eL-QRはすべての納付書に印字されているわけではありません。
| 書類 | eL-QRの印字 |
|---|---|
| 納税通知書・督促状など | 印字される |
| eLTAXで電子申告した後に発行した納付情報・都税事務所等で発行した納付書 | 印字されないことがある |
クレジットカードはシステム利用料に注意
クレジットカード納付では、納付額に応じたシステム利用料(決済手数料)が別途かかります。事業所税は税額が大きくなりがちなので、利用料も相応の金額になります。手数料を避けたい場合は、手数料のかからないダイレクト納付が有利です。
④ 口座振替
事前登録した口座から自動引落する方法です。納め忘れを防げますが、事業所税(申告納税方式の税目)で口座振替に対応しているかは自治体により異なります。利用可否は所在地の課税団体に確認してください。eLTAXのダイレクト納付が、実質的に申告連動の口座引落として機能する点も押さえておくとよいです。
納期限に遅れた場合の延滞金(計算方法と具体例)
納期限までに納付しないと、納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて延滞金がかかります。割合は納期限の翌日から1か月以内と1か月経過後で2段階に分かれ、毎年見直されます。
- 納期限の翌日から1か月以内:年2.8%
- 1か月を経過した日以後:年9.1%
※割合は「延滞金特例基準割合」に基づき毎年変わります(平均貸付割合により変動)。上記は令和8年中の期間に対応する例です。
- 最初の30日:1,000,000円 × 2.8% × 30 ÷ 365 = 約2,301円
- 残り122日:1,000,000円 × 9.1% × 122 ÷ 365 = 約30,419円
- 合計:約32,720円 → 100円未満切捨てで約32,700円
一括納付が難しいとき(徴収猶予・換価の猶予)
災害・事業の著しい損失・資金繰りの悪化など一定の事情で一括納付が難しい場合、徴収猶予や換価の猶予といった制度を利用できることがあります。猶予が認められると、分割納付が可能になり、猶予期間中の延滞金が軽減・免除される場合があります。
領収証書・納税証明書について
電子納付・キャッシュレス納付では、紙の領収証書は発行されません。納付の記録は、eLTAXの納付結果通知メッセージや、決済サービスの履歴で確認します。融資や入札などで納税証明書が必要な場合は、課税団体に別途請求します。電子納付直後は収納の反映に数日かかることがあるため、証明書が必要な予定がある場合は、納付のタイミングに余裕をもたせてください。
まとめ
- 納期限は事業年度終了後2か月以内(延長なし)。申告と同時に納付
- eLTAX共通納税は納付情報発行依頼→受取→納付の3ステップ
- ダイレクト納付は手数料なし(事前の口座登録が必要)、クレカはシステム利用料あり
- スマホ決済はeL-QR必須で、電子申告後の納付情報には印字されないことがある
- 延滞金は1か月以内と経過後で2段階(令和8年は2.8%/9.1%)。税額2,000円未満は対象外
- 一括納付が難しいときは徴収猶予・換価の猶予を早めに相談
- 電子・キャッシュレス納付は紙の領収証書が出ない(証明書は別途請求)
- 事業所税の申告書・届出書の種類と提出期限まとめ|どの書類をいつ出すか
- 事業所税の免税点判定を徹底解説
- 事業所税の税務調査・否認事例|指摘されやすいポイントと申告漏れの防ぎ方
※本記事は作成時点の制度・割合に基づく一般的な解説です。納付手段・手数料・対応アプリ・口座振替の可否、延滞金の割合・端数処理は課税団体や時期により異なります。延滞金の具体的な計算や猶予の適用は、所在地の課税団体の最新案内でご確認ください。


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