事業所税と休止施設|操業停止部分の課税標準の扱いを解説

地方税

工場の一部ラインを止めている、倉庫の一区画を使っていない、といったように、事業所の一部を休止していることがあります。このような操業停止・休止部分について、事業所税はかかるのでしょうか。実は、一定の要件を満たす休止施設は課税標準に含めなくてよい一方、単に使っていないだけの遊休施設は対象になるなど、扱いが細かく分かれます。要件を満たさないまま除外すると、申告誤りになりかねません。

この記事では、事業所税における操業停止・休止施設の取扱いについて、各自治体の公表資料をもとに、課税標準に含めないための要件、遊休施設との違い、免税点判定での扱いを、わかりやすく解説します。事業所税の課税標準の計算については、当サイトの関連記事もあわせてご覧ください。

この記事のポイント
  • 算定期間の末日以前6か月以上連続して休止した施設は、課税標準に含めない取扱い
  • 休止部分は明確に区画されていることが必要
  • 維持補修をしていつでも使える状態の「遊休施設」は対象にならない
  • 休止の認定には資料が必要で、実地調査が行われることもある
  • 免税点の判定では、休止施設の床面積も含めて判定する

休止施設は課税標準に含めない取扱いがある

事業所税の資産割は、事業所用家屋の床面積に対して課されます。しかし、事業所床面積のうち、課税標準の算定期間の末日以前6か月以上連続して休止していたと認められる施設(休止施設)については、課税標準に含めないものとして取り扱われます。長期間にわたって事業に使われていない部分にまで課税するのは実態に合わないため、一定の休止施設を課税標準から除く扱いが認められているのです。

ポイントは「算定期間の末日以前6か月以上連続して」という期間の要件です。たとえば3月末決算の法人なら、前年10月から3月末まで連続して休止していた、というように、末日からさかのぼって6か月以上続けて休止している必要があります。一時的に数週間止めただけ、というような短期の休止は、この取扱いの対象になりません。

課税標準に含めない休止施設の要件(例)

課税標準の算定期間の末日以前、6か月以上連続して休止していたと認められること

明確に区画されていることが必要

休止施設として課税標準から除くには、その休止部分が明確に区画されていることが必要です。建物の一部を休止しているという場合、どこからどこまでが休止部分なのかが、はっきりと区切られていなければなりません。区画があいまいで、稼働部分と一体になっているような場合は、休止施設として認められにくくなります。

工場の特定のフロアや棟をまるごと止めている、倉庫の明確に区切られた一区画を使っていない、といったように、休止部分が物理的・客観的に区分できることが求められます。

「遊休施設」は対象にならない

ここが最も注意したい点です。現に事業を行っていない場合でも、維持補修が行われ、いつでも使用できる状態にあるような施設は、休止施設には該当しません。これを一般に「遊休施設」といいます。また、事業所等の一部を、事業の都合で単に使用していないだけの場合も、休止施設にはあたりません。

区分 課税標準の扱い
6か月以上連続して休止し、区画も明確な休止施設 含めない
維持補修していつでも使える状態の遊休施設 含める
事業の都合で単に使っていないだけの部分 含める
「今は使っていないから課税対象から外せる」と安易に判断するのは危険です。いつでも稼働できるように維持されている遊休施設や、たまたま使っていない部分は、課税標準に含まれます。課税標準から除けるのは、6か月以上連続して休止し、区画も明確で、いつでも使える状態とはいえない施設に限られます。

休止の認定には資料と調査がある

休止施設として課税標準から除くには、6か月以上連続して休止していた事実を、自治体に認めてもらう必要があります。その認定にあたっては、休止の事実を証明する資料の提出が求められ、必要に応じて自治体による実地調査が行われることもあります。「休止していた」と申告するだけでなく、それを客観的に裏づけられることが重要です。

具体的にどのような資料が必要かは自治体によりますが、稼働を止めていたことが分かる記録(生産・稼働の実績、電気やガスなどの使用状況、設備の状態を示す写真など)が考えられます。休止施設として扱いたい場合は、休止の開始時期や範囲が分かる記録を、日頃から残しておくとよいでしょう。

休止施設の取扱いは、申告する側が休止の事実を立証できることが前提です。資料が不十分だと、休止施設として認められず、課税標準に含めて計算することになります。除外を主張するなら、根拠資料の準備が欠かせません。

免税点の判定では休止施設も含める

もうひとつ、混同しやすい重要な点があります。休止施設は課税標準には含めませんが、免税点の判定では、その休止施設の床面積も含めて判定します。つまり、税額を計算するもとになる課税標準からは除けても、事業所税がかかるかどうかのライン(床面積1,000平米)を判定するときには、休止部分も床面積に入れて考える、ということです。

場面 休止施設の床面積の扱い
課税標準(税額計算のもと) 含めない
免税点の判定(課税の有無のライン) 含める

この点は、休止施設の床面積が「課税標準の特例」として扱われることに由来します。課税標準の特例は、税額計算のもとになる課税標準は減らせるものの、免税点の判定には含める、という性質を持っています。休止施設も同じ考え方で、免税点判定には含めるため、休止部分があっても全体で1,000平米を超えれば課税対象になりうる点に注意が必要です。新設当初から使用していない未使用部分なども、同様に課税標準の特例として扱われ、免税点判定には含まれます。

「休止部分があるから免税点以下になる」とは限りません。免税点の判定には休止施設も含めるため、休止部分を除いた稼働部分だけで1,000平米以下でも、休止部分を足すと超えることがあります。その場合は課税対象となり、課税標準の計算で休止部分を除く、という順序になります。

まとめ

事業所税では、課税標準の算定期間の末日以前6か月以上連続して休止していたと認められる施設は、課税標準に含めない取扱いがあります。ただし、休止部分が明確に区画されていることが必要で、維持補修していつでも使える遊休施設や、単に使っていないだけの部分は対象になりません。休止の認定には資料が必要で、実地調査が行われることもあります。また、課税標準からは除けても、免税点の判定には休止施設の床面積を含める点に注意が必要です。休止部分があるからといって安易に除外せず、要件と立証資料を確認しましょう。課税標準の計算や免税点判定については、当サイトの関連記事もあわせてご確認ください。

この記事のまとめ
  • 末日以前6か月以上連続して休止した施設は課税標準に含めない
  • 休止部分は明確に区画されていることが必要
  • 維持補修していつでも使える遊休施設や、単に未使用の部分は対象外(含める)
  • 休止の認定には資料が必要で、実地調査が行われることもある
  • 免税点の判定には休止施設の床面積も含める(課税標準の特例の扱い)

※本記事は作成時点の公表資料(横浜市・京都市等の事業所税Q&A・手引等)に基づいています。休止施設の認定基準や必要資料は自治体により異なる場合があります。具体的な判断は、事業所が所在する自治体の最新の情報の確認、または税理士へのご相談をおすすめします。

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