事業所税と駐車場|課税対象になる駐車場と納税義務者を解説

地方税

事業所税では、駐車場の取扱いが意外と複雑です。同じ駐車場でも、立体駐車場のように建物になっているものは課税対象になる一方、屋外の平面駐車場は対象になりません。さらに、月極で借りている駐車場が自社の床面積に含まれたり、誰が納税義務者になるかが問題になったりと、判断に迷う場面が多くあります。

この記事では、事業所税と駐車場について、地方税法や各自治体の公表資料をもとに、課税対象になる駐車場・ならない駐車場の線引き、納税義務者、共用部分の按分、非課税となる路外駐車場を、わかりやすく解説します。事業所税の基本的な課税対象については、当サイトの関連記事もあわせてご覧ください。

この記事のポイント
  • 事業所税の資産割の対象は「事業所用家屋」。家屋である駐車場が課税対象
  • 立体駐車場・屋内駐車場は課税対象、屋外の平面駐車場・カーポートは対象外
  • 月極・年貸しで専用使用する駐車場は、使用者の事業所床面積に含める
  • 車路などの共用部分は、専用使用する者の面積比で按分する
  • 駐車場法の届出がされた一般公共用の路外駐車場は非課税

課税対象になるのは「家屋である駐車場」

事業所税の資産割は、事業所用家屋の床面積に対して課されます。駐車場についても、課税対象になるかどうかは、その駐車場が「家屋」に当たるかどうかで決まります。建物としての駐車場であれば課税対象、土地だけの駐車場であれば対象外、というのが基本的な考え方です。

駐車場の種類 事業所税(資産割)
立体駐車場(タワーパーキング) 課税対象
屋内駐車場(建物内の駐車場) 課税対象
屋外の平面駐車場(土地だけ) 対象外
カーポート(屋根だけの簡易な設備) 対象外

立体駐車場や、ビルの中にある屋内駐車場は、家屋に当たるため課税対象です。一方、土地に区画を引いただけの屋外平面駐車場や、柱と屋根だけのカーポートのような簡易な設備は、家屋とはいえないため課税対象になりません。同じ「駐車場」でも、建物かどうかで扱いが大きく分かれる点を押さえましょう。

屋根だけの設備が課税対象になるかは、その構造によります。一般に、三方や四方が壁で囲まれているなど、建物(家屋)として認められる構造かどうかで判断されます。判断に迷う場合は、固定資産税で家屋として評価されているかどうかも参考になりますが、最終的には事業所が所在する自治体に確認するのが確実です。

借りている駐車場も床面積に含まれる

課税対象になる駐車場(家屋である駐車場)は、自社が所有しているものだけではありません。月極貸し・年貸しなどで、特定の者が専用使用する駐車場については、その使用者(借主)の事業所床面積として算定します。つまり、立体駐車場の一区画を月極で借りて自社専用で使っている場合、その部分は借りている側の床面積になり、事業所税の判定に含まれます。

これは、事業所税が、所有か賃借かを問わず、事業のために使用している事業所用家屋を対象とするためです。自社ビルの駐車場だけでなく、外部で借りている立体駐車場の専用区画も、床面積の集計に入れる必要があります。見落としやすいので注意しましょう。

車路などの共用部分は按分する

立体駐車場などで、複数の使用者が専用区画を持っている場合、駐車マスそのものだけでなく、車路(通路)や出入口といった共用部分も課税床面積に含まれます。この共用部分は、各使用者が専用使用している駐車場の面積の比に応じて按分します。

なお、1台あたりの駐車スペースがおおむね同じ場合には、車路などの共用部分を含めた駐車場施設全体の面積を、駐車台数で按分する簡便な方法も認められています。いずれにせよ、自分が専用使用する区画に対応する共用部分も、床面積に含める必要がある点を押さえておきましょう。

共用部分の按分の考え方

各使用者の課税床面積 = 専用使用する駐車マスの面積 + 車路等の共用部分を専用面積の比で按分した面積
(1台あたりのスペースがほぼ同じなら、全体面積を駐車台数で按分する方法も可)

納税義務者は誰か

駐車場の事業所税を誰が負担するかは、その使用形態によって変わります。基本的な考え方は次のとおりです。

使用形態 考え方
自己の事業所内の駐車場 その事業を行う者の床面積として算定
特定の者が専用使用(月極・年貸し等) 専用使用する使用者の床面積として算定
使用者が決まっていない部分 空き室と同様に取り扱う(貸す側で判断)

テナントの使用部分が特定されている場合は、一般にその部分を使うテナントが納税義務者になります。一方、使用者が決まっていない部分は、空き室と同様に扱い、貸しビル業者(オーナー)側で判断します。誰が専用使用しているかによって、負担する人が変わる点に注意が必要です。

非課税となる路外駐車場

家屋である駐車場でも、一定の要件を満たす駐車場は非課税となります。駐車場法の規定により市区町村長に届出がされた、一般公共の用に供する路外駐車場です(地方税法701条の34第3項)。広く一般の利用に開かれている時間貸し駐車場などが、これに当たります。

ただし、月極貸しや、特定の者が専用使用する部分は、一般公共の用に供するとはいえないため、この非課税の対象になりません。同じ駐車場でも、時間貸しの一般開放部分は非課税、月極で区画が特定されている部分は課税、というように分かれることがあります。買い物客向けの駐車場でも、現実に買い物客以外の駐車を拒んでいなければ、一般公共の用に供するとして非課税に該当する場合があります。

路外駐車場の非課税は、駐車場法の届出がされていることが前提です。届出をしていない駐車場は、実態が一般公共用であっても非課税の取扱いを受けられないことがあります。非課税を受けたい場合は、駐車場法上の届出の有無を確認してください。

まとめ

事業所税の資産割の対象は事業所用家屋なので、駐車場のうち課税対象になるのは、立体駐車場や屋内駐車場といった家屋である駐車場です。屋外の平面駐車場やカーポートは対象外です。月極などで専用使用する駐車場は、使用者の床面積として算定し、車路などの共用部分は専用面積の比で按分します。納税義務者は、専用使用する者か、使用者が決まっていなければ貸す側で判断します。また、駐車場法の届出がされた一般公共用の路外駐車場は非課税です。駐車場は判断が分かれやすいため、自社の駐車場がどれに当たるかを確認し、床面積の集計漏れがないようにしましょう。事業所税の課税対象や非課税については、当サイトの関連記事もあわせてご確認ください。

この記事のまとめ
  • 課税対象は家屋である駐車場(立体駐車場・屋内駐車場)。屋外平面・カーポートは対象外
  • 月極・年貸しで専用使用する駐車場は使用者の床面積に含める
  • 車路などの共用部分は専用面積の比で按分(台数按分の簡便法も可)
  • 納税義務者は専用使用する者。使用者未定の部分は空き室同様に貸す側で判断
  • 駐車場法の届出がされた一般公共用の路外駐車場は非課税

※本記事は作成時点の法令・公表資料(地方税法701条の34ほか、東京都主税局・横浜市・各市の事業所税Q&A等)に基づいています。駐車場の取扱いは構造や使用形態、自治体により異なる場合があります。具体的な判断は、事業所が所在する自治体の最新の情報の確認、または税理士へのご相談をおすすめします。

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