病院・クリニックの事業所税|医療施設の非課税範囲と課税される部分を解説

地方税

病院・クリニックは、事業所税では非課税として扱われる部分が大きい業種です。医療法上の病院・診療所は、資産割・従業者割のいずれも非課税(用途非課税)とされています。ただし、同じ建物内の売店やテナント、職員寮などは課税対象になることがあり、医療部分と非医療部分の区分が論点になります。本記事では、病院・クリニックの事業所税の非課税範囲と、課税される部分を整理します。

※本記事は東京都(23区内)を前提とした一般的な解説です。非課税の範囲・区分の運用は課税団体ごとに異なる場合があります。具体的な適用は所在地の課税団体にご確認ください。事業所税の基本は「事業所税とは?」をご覧ください。

病院・診療所は資産割・従業者割とも非課税

地方税法701条の34により、医療法に規定する病院・診療所、一定の介護老人保健施設・介護医療院、および医療関係者の養成所に係る事業については、事業所税が非課税(用途非課税)とされています。これは資産割(床面積)・従業者割(給与)の両方が非課税になる、強力な措置です。

非課税となる主な医療施設
  • 医療法上の病院(20床以上)
  • 医療法上の診療所(クリニック。無床・19床以下)
  • 一定の介護老人保健施設・介護医療院
  • 看護師・准看護師・歯科衛生士など医療関係者の養成所
開設主体は問いません。医療法人が開設するものだけでなく、個人開業医のクリニックや、その他の主体が開設する病院・診療所も、医療法上の病院・診療所であれば非課税の対象です(介護老人保健施設・介護医療院は医療法人等が開設するもの等、政令の要件があります)。

課税される可能性がある部分(区分が必要)

非課税は「病院・診療所として使う部分」に及びます。同じ建物内でも、医療と直接関係のない部分は課税対象になり得るため、区分が必要です。

部分 事業所税の扱い(一般的な考え方)
診察室・病室・手術室・検査室・薬局(院内)・受付等 医療施設として非課税
院内の売店・コンビニ・レストラン・テナント 医療以外の事業として課税対象になり得る(テナントはその事業者が納税義務者)
職員寮・保養所など 福利厚生施設の非課税要件を満たすかで判断(業務用は課税)
病院に併設された売店やコンビニ、レストランなどは、医療そのものではなく物販・飲食の事業です。これらが病院自身の事業として行われる場合は課税対象になり得ますし、外部事業者にテナントとして貸している場合は、そのテナント事業者が自らの事業について納税義務者になります。

区分できない場合の取扱い

非課税の事業と課税の事業を同一の事業所等で併せて行う場合で、床面積や従業者給与総額を区分できないときは、法人税法施行令の区分経理の方法等に基づいて、非課税部分を合理的に算定します。実務では、医療部分と非医療部分を床面積按分などで区分するのが基本です。

免税点判定との関係

非課税部分は、免税点判定でも控除できます(課税標準の特例とは異なり、非課税は免税点判定で除外できる点がポイント)。したがって、医療部分が大半を占めるクリニックなどでは、非課税部分を除いた課税対象部分が免税点(床面積1,000㎡・従業者100人)以下となり、申告自体が不要になるケースも多くあります。

ただし、課税対象となる部分(売店・テナント等)があり、前事業年度に納税義務があった場合や、課税部分が一定規模を超える場合などは、免税点以下でも申告が必要になることがあります。大規模病院で売店・レストラン・駐車場・職員寮など非医療部分が大きい場合は、課税部分の集計と申告要否の確認が必要です。

そのほかの論点(駐車場・健診・介護)

  • 駐車場:来院者・患者用の駐車場の扱いは、駐車場の課税・非課税の一般ルールで判断(家屋性・路外駐車場の非課税要件など)
  • 健診・人間ドック:医療法上の病院・診療所が行う健診部分も、施設としては医療施設の非課税の範囲に含まれるのが一般的(消費税では課税売上になるが、事業所税の非課税とは別の話)
  • 介護施設:介護老人保健施設・介護医療院は一定要件で非課税。一方、その他の介護サービス事業所は別途判断が必要
消費税では社会保険診療が非課税・自由診療や物販が課税、と区分しますが、これは消費税の話で、事業所税の非課税(医療施設という用途による非課税)とは判断軸が異なります。混同しないよう注意してください。

まとめ

この記事のポイント
  • 医療法上の病院・診療所は資産割・従業者割とも非課税(用途非課税、701条の34)
  • 非課税は開設主体を問わない(医療法人・個人開業医とも対象)
  • 院内の売店・テナント・職員寮など非医療部分は課税対象になり得る(区分が必要)
  • 区分できない場合は区分経理等で合理的に算定
  • 非課税部分は免税点判定でも控除できるため、クリニック等は申告不要のことも多い
  • 消費税の課税・非課税とは判断軸が別(混同に注意)
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※本記事は作成時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。非課税の範囲・区分や介護施設の取扱いは、施設の状況や課税団体により異なる場合があります。具体的な判断は、所在地の課税団体への確認、または税理士へのご相談をおすすめします。

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