事業所税の課税標準の計算方法を完全解説|資産割・従業者割の計算式

地方税

事業所税の税額計算では、「課税標準」の理解が欠かせません。本記事では、資産割の事業所床面積と従業者割の従業者給与総額について、計算方法を計算例つきで詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 課税標準は、資産割が事業所床面積、従業者割が従業者給与総額
  • 税額は資産割が床面積×600円、従業者割が給与総額×0.25%
  • 床面積は壁の中心線で囲まれた水平投影面積。登記面積ではなく現況面積で判定
  • 共用部分は専用部分の床面積比で按分。事業所等の新設・廃止は月割計算する
  • 従業者給与総額は所得税法上の給与所得と同じ範囲。高齢者・障害者の給与は全額控除
  • 事業所税には申告納付期限の延長制度がない(法人税の延長特例を受けていても2か月以内)

ヒント:免税点判定(そもそも課税されるかの判定)は事業所税の免税点判定で詳しく解説しています。実際の試算には概算ツール(簡易版)概算ツール(詳細版)もご活用ください。

  1. そもそも「課税標準」とは
    1. 課税標準の算定期間とは
    2. 免税点判定と課税標準の関係
  2. 資産割の課税標準(事業所床面積)
    1. 「事業所等」とは何か
    2. 同一建物内に複数の事業所等がある場合
    3. 事業所床面積の定義と測定方法
    4. 登記面積と現況面積が異なる場合
    5. 専用部分と共用部分の按分計算
    6. 算定期間が12月未満の場合の月割計算
    7. 事業所等の新設・廃止の月割計算
    8. 「新設・廃止」と「同一事業所の床面積増減」の違い
  3. 従業者割の課税標準(従業者給与総額)
    1. 「従業者」の範囲
    2. 「給与等」の範囲
    3. 通勤手当の取扱い
    4. 「支払われるべき給与」の意味
    5. 高齢者・障害者・雇用改善助成対象者の取扱い
    6. 特殊な勤務形態の従業者の取扱い
    7. 非課税事業とその他の事業を併せ行う場合の按分
  4. 課税標準計算の流れ
    1. 資産割の課税標準計算ステップ
    2. 従業者割の課税標準計算ステップ
  5. 想定Q&A
    1. Q1. 賃貸借契約書の面積で申告してよいですか
    2. Q2. 期の途中でフロアを借り増しました。月割計算しますか
    3. Q3. 通勤手当は給与総額に含めますか
    4. Q4. 65歳以上の従業員の給与はどう扱いますか
    5. Q5. 出向者の給与はどちらの会社で計上しますか
    6. Q6. 共用部分(廊下・エレベーター)も床面積に含めるのですか
    7. Q7. 登記簿の面積と実際の面積が違います。どちらで申告しますか
    8. Q8. 役員報酬は本社と支店のどちらの給与総額に含めますか
    9. Q9. 完全在宅勤務の従業員の給与はどう扱いますか
    10. Q10. 非課税事業と課税事業の両方で働く従業員の給与はどうしますか
  6. まとめと事業所税シリーズ一覧

そもそも「課税標準」とは

課税標準とは、税額を計算するときの基準となる金額や数量のことをいいます。事業所税の税額は、課税標準に一定の金額または率を乗じて計算しますが、資産割と従業者割では計算方法が異なります。

課税区分 税額の計算式
資産割 事業所床面積(㎡)× 1㎡あたり600円
従業者割 従業者給与総額(円)× 0.25%

事業所税は、都市の集積による行政サービスから受益を受ける事業活動の規模に応じて課税する目的税であるため、事業活動の規模を客観的に示す指標が課税標準として採用されています。資産割では事業所の物理的な広がりを示す「事業所床面積」、従業者割では人的規模を示す「従業者給与総額」が課税標準とされています。

課税区分 課税標準 税率 基準日・期間
資産割 事業所床面積 1㎡につき600円 算定期間の末日現在の床面積
従業者割 従業者給与総額 100分の0.25 算定期間中に支払った給与等

ヒント:資産割は1㎡あたりの定額(600円)を、従業者割は給与総額に対する税率(0.25%)を乗じて計算します。資産割は床面積1㎡につき600円という固定額のため、給与水準とは無関係に床面積だけで税額が決まる点が特徴です。

課税標準の算定期間とは

課税標準の算定期間とは、課税標準を計算する対象期間をいいます。法人の場合は事業年度(3月決算なら4月1日から3月31日まで。1年決算法人の場合)、個人の場合は1月1日から12月31日までです。

落とし穴:事業所税には申告納付期限の延長制度がない

法人の場合、事業年度終了後2か月以内が申告納付期限です。法人税の申告期限の延長特例を受けている法人でも、事業所税については2か月以内に申告納付しなければならない点に注意が必要です。

免税点判定と課税標準の関係

事業所税の計算では、まず免税点判定(そもそも課税されるかどうかの判定)を行い、免税点を超える場合に課税標準を算定して税額を計算します。本記事では課税標準の論点に絞って解説します。事業所税の全体像は事業所税とはをご覧ください。

資産割の課税標準(事業所床面積)

資産割の課税標準は、課税標準の算定期間の末日における、その課税団体内に所在する各事業所等の合計事業所床面積です。事業所税は地方税法で定められた特定の都市(指定都市等)でのみ課税され、現在全国で77団体が課税団体となっています(令和8年4月1日現在)。

落とし穴:課税団体ごとに別々に判定・申告する

複数の課税団体に事業所がある場合、事業所税は課税団体ごとに別々に判定・申告します。たとえば東京23区と横浜市の両方に事業所がある場合、東京都と横浜市にそれぞれ別個に申告および納付が必要です。本記事は東京都(23区内)を前提に解説しますが、減免制度などの細かい運用は団体ごとに異なる場合があります。

「事業所等」とは何か

事業所税における「事業所等」とは、事務所または事業所をいい、それが自己の所有に属するものであるか否かにかかわらず、事業の必要から設けられた人的・物的設備で継続して事業が行われる場所をいいます。事務所(本社・支店・営業所・研究所)、店舗、工場、倉庫などが該当します。

ヒント:自己所有かどうかは問いません。賃借物件であっても、人的・物的設備があり継続して事業が行われていれば「事業所等」に該当します。建設現場の仮設事務所や屋外設備など、事業所等の範囲の判定で迷いやすいケースは事業所税の「事業所等」とはで詳しく解説しています。

同一建物内に複数の事業所等がある場合

同じ建物内に事務所・店舗・倉庫などを複数設けている場合、それらをすべてあわせて「一の事業所等」として扱います。たとえば同一ビル内で2F事務所300㎡・3F会議室200㎡・地下1F倉庫150㎡を使用している場合、これら3つは合計650㎡の一の事業所等として扱います。

事業所床面積の定義と測定方法

事業所床面積とは、事業所用家屋の延べ面積(共用床面積を含む各階床面積の合計)をいいます。測定は、各階ごとに、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として計算します。1㎡の100分の1未満の端数は切り捨てます。

項目 内容
壁芯(へきしん) 各階ごとに、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分で測定(内法ではない)
水平投影面積 上から見た水平方向の投影面積で計算
単位・端数 ㎡を単位とし、1㎡の100分の1未満(小数点以下第3位以降)は切り捨て

ヒント:賃貸借契約書に記載される面積は、壁の内側で測る「内法(うちのり)面積」の場合があります。事業所税は壁芯(中心線)で測るため、契約書の面積と事業所床面積が一致しないことがあります。賃借物件で正確な床面積が不明な場合は、管理会社やオーナー、または所管の課税団体に確認するのが確実です。

登記面積と現況面積が異なる場合

登記面積と実際の現況面積が異なる場合は、現況床面積を事業所床面積とします。たとえば登記簿上900㎡でも、リフォームでベランダ部分を屋内化して現況1,050㎡となっている場合、事業所床面積は1,050㎡として計算します。固定資産税の家屋評価で課税床面積が変更されていない場合でも、事業所税では現況床面積で判定する点に注意が必要です。

専用部分と共用部分の按分計算

複数の事業者が使用している家屋では、専用部分(専ら事業所等として使う部分)と共用部分(廊下・階段・エレベーター・共用トイレなど)を区別します。共用部分は、一棟全体の専用部分の床面積比で各事業者に按分します。

事業所床面積 = 専用部分 + 一棟全体の共用部分 ×(自社の専用部分 ÷ 一棟全体の専用部分の合計)

計算例:1棟7,200㎡のビル(専用6,000㎡+共用1,200㎡)

専用部分の内訳:A社(事務所)3,000㎡、B店(店舗)2,000㎡、住宅1,000㎡(合計6,000㎡)

A社 3,000㎡+(1,200㎡×3,000÷6,000)=3,600㎡
B店 2,000㎡+(1,200㎡×2,000÷6,000)=2,400㎡

※一棟全体の専用部分の合計(6,000㎡)には、住宅部分(1,000㎡)も含めて計算します(住宅部分も「専用部分」に該当するため)。

算定期間が12月未満の場合の月割計算

新規設立、解散、半年決算法人、決算期変更等で課税標準の算定期間が12か月に満たない場合は、月割計算を行います。

課税標準 = 算定期間末日現在の事業所床面積 ×(算定期間の月数 ÷ 12)

ヒント:月数は暦に従って計算し、1か月に満たない端数が生じた場合は1か月として計算します。たとえば4月1日から12月15日までは「8か月+15日」となり、端数の15日を1か月とカウントして合計9か月として計算します。

事業所等の新設・廃止の月割計算

算定期間の中途で事業所等を新設または廃止した場合の課税標準は、月割計算により算定します。新設の日・廃止の日は、営業開始日・終了日ではなく、業務の準備期間等を含めた日です。賃借の場合は、原則として賃貸借期間の開始日・終了日となります。

落とし穴:新設日は賃貸借開始日(オープン日ではない)

たとえば10月1日から賃貸借契約を開始し、内装工事を経て11月15日に店舗オープンした場合、事業所等の「新設の日」は10月1日(賃貸借開始日)であり、11月15日(オープン日)ではありません。月割計算の月数カウントもここを基準とします。

区分 月数の数え方
新設 新設日の属する月の翌月から、算定期間末日の属する月までの月数
廃止 算定期間開始日の属する月から、廃止日の属する月までの月数
開始日に新設 中途新設にならない(通常どおり全期間で算定)

計算例①:新設

A社(12月決算)が8月25日にa支店(1,200㎡)を新設。新設月の翌月(9月)から12月までの4か月分。a支店の課税標準=1,200㎡×(4÷12)=400㎡

計算例②:廃止

B社(3月決算)が5月15日にb支店(1,200㎡)を廃止。算定期間開始月(4月)から廃止月(5月)までの2か月分。b支店の課税標準=1,200㎡×(2÷12)=200㎡

「新設・廃止」と「同一事業所の床面積増減」の違い

ここで重要なのが、「事業所等の新設・廃止」と「同一事業所等の床面積の増減」は異なるという点です。

区分 意味 課税標準の算定
事業所等の新設・廃止 一の事業所等の単位で、その全体についての新設または廃止 月割計算する
同一事業所等の床面積の増減 既存事業所等の床面積の増減(拡張・縮小) 月割しない(末日の床面積で算定)

同一建物内におけるフロアの借り増し・契約解除等は「事業所等の新設・廃止」には該当せず、同一事業所等の床面積の増減として扱います。この場合、月割計算は行わず、算定期間末日の事業所床面積で課税標準を算定します。たとえばD社(3月決算)のd支店(800㎡)が12月1日に300㎡、2月1日に400㎡を借り増した場合、末日(3月31日)の1,500㎡がそのまま課税標準になります。逆に縮小した場合も、末日時点の床面積で算定し、縮小前の床面積は考慮しません。

従業者割の課税標準(従業者給与総額)

従業者割の課税標準は、23区内の事業所等において、課税標準の算定期間中に従業者に対して支払われた従業者給与総額です。

「従業者」の範囲

事業所税における「従業者」とは、事業所等で勤務する人をいい、その範囲は広く、正社員・契約社員・嘱託社員などの一般従業者、取締役・執行役・監査役等の役員(無給役員を除く)、日々雇用・季節雇用などの臨時従業者、パートタイマー、出向者などを含みます。

ヒント:「従業者」の範囲は、免税点判定と課税標準(給与総額)で異なる場合があります。たとえばパートタイマー(相当短時間勤務)は、免税点判定の人数には含めませんが、給与総額には含めます。中途退職者も同様で、免税点判定の人数には含めませんが、退職時までの給与は給与総額に含めます。この非対称な扱いに注意が必要です。詳しくは事業所税の免税点判定をご覧ください。

「給与等」の範囲

従業者給与総額における「給与等」とは、所得税法上の給与と意義を同じくするものです。所得税で給与所得とされる部分が、事業所税の課税標準にも含まれます。

区分 具体例
含まれる 俸給、給料、賃金、賞与、扶養手当、住居手当、時間外勤務手当、所得税の取扱い上課税とされる通勤手当・現物給与など
含まれない 退職給与金、年金、恩給、所得税の取扱い上非課税とされる通勤手当、外交員等の業務に関する報酬で給与所得に該当しないもの

通勤手当の取扱い

通勤手当は、その金額が所得税法上の非課税限度額の範囲内であれば従業者給与総額に含めませんが、非課税限度額を超える部分は従業者給与総額に含めます。具体的には、電車・バス等の交通機関利用は月15万円まで、マイカー・自転車等の交通用具利用は通勤距離に応じて月2,000円〜31,600円まで非課税で、これらを超える部分は給与所得として課税され、事業所税の従業者給与総額にも含めます。

「支払われるべき給与」の意味

従業者給与総額には、算定期間中に「支払われた」給与のほか、「支払われるべき」給与も含まれます。これは課税標準の算定期間中に支払い義務が確定した給与等をいいます。たとえば3月決算法人で3月分の給与を4月10日に支払う場合、支払日が4月でも支払い義務が3月に確定しているため、3月期の従業者給与総額に含めます。未払金として損金経理された給与も、原則としてその算定期間の従業者給与総額に含めます。

高齢者・障害者・雇用改善助成対象者の取扱い

従業者割の課税標準を算定する際、次の従業者については特別な取扱いがあります。

区分 対象 取扱い
高齢者 65歳以上の者(役員を除く) 給与等を全額除いて算定
障害者 所得税・住民税の障害者控除対象者(役員を除く) 給与等を全額除いて算定
雇用改善助成対象者 55歳以上65歳未満で、雇用保険法等の助成対象者 給与等の1/2を除いて算定

ヒント:高齢者等の判定は、その者に対して給与等が支払われる時の現況によります。給与の計算の基礎となる期間(月給・週給等の期間)の末日の現況で判定されます。

特殊な勤務形態の従業者の取扱い

特殊な勤務形態にある従業者については、雇用関係の実態に応じて次のように取り扱います。

勤務形態 課税標準上の取扱い
役員(高齢者を含む) 原則として本社の従業者給与総額に含める
無給の役員 給与の支払いがないため、給与総額にも含めない
パートタイマー 給与総額に含める(免税点判定では除外される場合あり)
日々雇用等の臨時従業員 給与総額に含める
出向(出向元が給与支払い) 出向元の給与総額に含める
出向(出向先が給与負担) 出向先の給与総額に含める
出向(両社が一部負担) それぞれの会社が実際に負担した金額を、各社の給与総額に含める
中途退職者 退職時までの給与等を給与総額に含める
休職中の従業者 給与等が一度でも支払われていれば給与総額に含める
在宅勤務者(一度も出勤せず) 給与総額に含めない
海外・課税区域外への長期派遣 給与総額に含めない
派遣労働者 派遣元の給与総額に含める
常時船舶の乗組員 給与総額に含めない
保険外交員 所得税法上の給与等が支払われている場合は含める

ヒント:役員報酬・役員賞与は、役員が法人全体の経営に従事し、原則として勤務すべき場所が本社と考えられることから、原則として本社の従業者給与総額に含めて取り扱うのが一般的です。ただし、使用人兼務役員の使用人としての給与(営業部長や工場長としての給与部分)は、勤務地の従業者給与総額に含めます。役員の勤務実態や課税団体の取扱いにより判断が分かれる場合があるため、迷うときは所管の課税団体に確認してください。

非課税事業とその他の事業を併せ行う場合の按分

事業者が非課税規定の適用を受ける事業と受けない事業を併せ行う場合、これらに従事する従業者の給与等は、それぞれの事業に従事した分量に応じて按分します(各事業に係る給与等=当該従業者の給与等×各事業に従事した分量の割合)。従事分量が明らかでない場合は、それぞれの事業に均等に従事したものとして計算します(2つの事業に従事し分量不明なら1/2ずつ按分)。非課税の詳細は事業所税の非課税・課税標準の特例・減免で解説しています。

課税標準計算の流れ

資産割の課税標準計算ステップ

手順 内容
1 各事業所等の事業所床面積を算定(壁芯の水平投影面積。共用部分の按分計算を含む)
2 非課税対象の床面積を控除(人的非課税・用途非課税)
3 課税標準の特例対象部分は特例控除を適用(情報通信業務用施設等の1/2控除など)
4 新設・廃止があった事業所等は月割計算(同一事業所等の床面積増減は月割しない)
5 23区内全事業所の合計を算出して資産割の課税標準とする

従業者割の課税標準計算ステップ

手順 内容
1 算定期間中の従業者給与総額を集計(所得税法上の給与所得と同じ範囲)
2 高齢者・障害者の給与等を全額控除(役員除く)
3 雇用改善助成対象者の給与等の1/2を控除
4 非課税対象事業に従事する従業者の給与等を控除(按分計算が必要な場合あり)
5 23区内全事業所の合計を算出して従業者割の課税標準とする

想定Q&A

Q1. 賃貸借契約書の面積で申告してよいですか

契約書の面積が壁の内側で測る内法面積の場合、事業所税で使う壁芯(中心線)面積とは一致しないことがあります。事業所税は壁芯の水平投影面積で算定するため、正確な床面積が不明な場合は管理会社やオーナー、または所管の課税団体に確認するのが確実です。共用部分の按分も必要になるため、契約書の専有面積だけで判断しないよう注意が必要です。

Q2. 期の途中でフロアを借り増しました。月割計算しますか

同一建物内の既存事業所でのフロア借り増しは、「事業所等の新設」ではなく「同一事業所等の床面積の増減」にあたるため、月割計算はしません。算定期間末日の床面積で課税標準を算定します。一方、別の場所に新たな事業所を設けた場合は「新設」となり、月割計算の対象です。この区別が税額に大きく影響します。

Q3. 通勤手当は給与総額に含めますか

所得税法上の非課税限度額の範囲内であれば含めません。限度額を超える部分のみ給与総額に含めます。電車・バス等は月15万円まで、マイカー等は距離に応じて月2,000円〜31,600円までが非課税です。給与計算で通勤手当を全額そのまま給与総額に入れてしまうと過大計上になるため、非課税部分を除く点に注意が必要です。

Q4. 65歳以上の従業員の給与はどう扱いますか

高齢者(65歳以上、役員を除く)の給与等は、従業者割の課税標準から全額を除いて算定します。障害者控除対象者も同様に全額控除です。55歳以上65歳未満の雇用改善助成対象者は1/2を控除します。これらの控除を漏らすと過大に納税してしまうため、対象者の有無を確認することが大切です。

Q5. 出向者の給与はどちらの会社で計上しますか

給与を実際に負担している会社で計上します。出向元が給与を支払っていれば出向元、出向先が負担していれば出向先の給与総額に含めます。両社が一部ずつ負担している場合は、それぞれが実際に負担した金額を各社の給与総額に含めます。負担関係の実態に応じて判定する点がポイントです。

Q6. 共用部分(廊下・エレベーター)も床面積に含めるのですか

含めます。事業所床面積は専用部分だけでなく、廊下・階段・エレベーター・共用トイレなどの共用部分も対象です。複数の事業者が入る建物では、共用部分を一棟全体の専用部分の床面積比で各事業者に按分します。たとえば一棟の専用部分6,000㎡のうち自社が3,000㎡(半分)使っていれば、共用部分1,200㎡のうち600㎡(半分)が自社の床面積に加わります。専用部分だけで申告すると過少申告になるため注意してください。

Q7. 登記簿の面積と実際の面積が違います。どちらで申告しますか

現況の床面積で申告します。事業所税は登記面積ではなく、算定期間末日における実際の現況床面積で判定します。たとえば登記簿上は900㎡でも、増築やベランダの屋内化で現況1,050㎡になっていれば、1,050㎡が事業所床面積です。固定資産税の家屋評価で課税床面積が更新されていない場合でも、事業所税では現況で算定する点に注意が必要です。逆に現況が登記より小さくなっている場合も、現況面積で申告します。

Q8. 役員報酬は本社と支店のどちらの給与総額に含めますか

原則として本社の従業者給与総額に含めます。役員は法人全体の経営に従事し、勤務すべき場所が本社と考えられるためです。役員が高齢者であっても、役員である限り給与総額から除外されません(高齢者・障害者の全額控除は役員以外が対象)。ただし、使用人兼務役員の使用人としての給与部分(営業部長・工場長としての給与など)は、その使用人として勤務する場所の給与総額に含めます。無給の役員は給与の支払いがないため、給与総額には含めません。

Q9. 完全在宅勤務の従業員の給与はどう扱いますか

課税団体内の事業所等に一度も出勤せず、自宅のみで勤務している従業者の給与は、その事業所等の従業者給与総額に含めません。事業所等で勤務している実態がないためです。一方、週に数日でも事業所に出勤する勤務形態であれば、その事業所の従業者として給与総額に含めます。在宅勤務が一般化するなかで判断に迷う論点なので、勤務実態(出勤の有無・頻度)を基準に整理し、迷う場合は所管の課税団体に確認してください。

Q10. 非課税事業と課税事業の両方で働く従業員の給与はどうしますか

それぞれの事業に従事した分量に応じて按分します。たとえば非課税事業(一定の社会福祉事業など)と通常の課税事業の両方に従事する従業者の給与は、従事割合に応じて分け、非課税事業に対応する部分を給与総額から除きます。従事した分量が明らかでない場合は、各事業に均等に従事したものとして計算します(2つの事業なら1/2ずつ)。非課税の範囲は団体や事業内容で異なるため、対象事業に該当するかを確認したうえで按分してください。

まとめと事業所税シリーズ一覧

この記事のポイント

  • 課税標準は、資産割が事業所床面積、従業者割が従業者給与総額。
  • 事業所等は「人的・物的設備で継続して事業が行われる場所」(自己所有かどうかは問わない)。
  • 事業所床面積は壁の中心線で囲まれた水平投影面積(1㎡の1/100未満切捨)。登記面積ではなく現況面積で判定。
  • 共用部分は専用部分の床面積比で按分。一棟全体の専用部分の合計には住宅部分も含める。
  • 事業所等の新設・廃止は月割計算、同一事業所内の床面積増減は月割しない。
  • 新設・廃止の日は営業開始日ではなく、業務準備期間を含めた日(賃借は賃貸借期間の開始日・終了日)。
  • 従業者給与総額は所得税法上の給与所得と同じ範囲。未払金処理した給与も支払義務が確定していれば含める。
  • 通勤手当は所得税法上の非課税限度額を超える部分のみ給与総額に含める。
  • 高齢者・障害者の給与は全額控除、雇用改善助成対象者は1/2控除。
  • 役員報酬は原則本社の給与総額に含める(使用人兼務役員の使用人分は勤務地に含める)。
  • 出向者は給与負担割合に応じて出向元・出向先のどちらに含めるか判定。
  • 事業所税には申告納付期限の延長制度がない(法人税の延長特例を受けていても2か月以内)。

※本記事は2026年6月時点の法令・公表資料(地方税法・各自治体の手引き等)に基づく一般的な解説です。課税標準の算定や取扱いは指定都市等により異なる場合があります。実際の申告にあたっては、事業所等の所在する団体の最新の取扱いの確認と、必要に応じて顧問税理士へのご相談をおすすめします。

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