控除対象外消費税額等の論点の中でも、特に申告実務でミスが起きやすいのが交際費との関係です。税抜経理方式で控除対象外消費税額等が生じる事業者は、交際費等の損金不算入額の計算で、交際費に係る控除対象外消費税額等を交際費の額に加算しなければなりません。これを見落とすと、損金不算入額の計算を誤ります。本記事では、交際費に係る控除対象外消費税額等の取扱いを、計算例を交えて深掘りします。
前提:交際費が問題になる場面
交際費に係る控除対象外消費税額等の加算が必要になるのは、次の条件をすべて満たす場合です。
- 税抜経理方式を採用していること(税込経理では交際費の額に消費税が含まれるため、この加算の論点は生じない)
- その事業年度で課税売上高5億円超、または課税売上割合95%未満であること
- その結果、交際費等に係る控除対象外消費税額等が生じていること
交際費の損金不算入額の計算ルール(国税庁タックスアンサーNo.6917)
税抜経理方式では、交際費等は消費税抜きの価額で計上し、その税抜きの額を基に損金不算入額を計算するのが原則です。ただし、控除対象外消費税額等があるときは、次のように加算します。
つまり、税抜きの交際費に、交際費に対応する控除対象外消費税額等を上乗せした金額を「交際費等の額」として、損金不算入額(定額控除限度額超過額、または接待飲食費の50%超過額)を計算します。
具体的な計算例
・税抜経理方式を採用
・課税売上割合90%(95%未満)
・交際費に該当する課税仕入れ:税抜400,000円(仮払消費税等40,000円)
・一括比例配分方式で計算
- 交際費に係る控除対象外消費税額等 = 40,000円 ×(1 − 90%)= 4,000円
- 損金不算入額の計算に使う交際費等の額 = 400,000円 + 4,000円 = 404,000円
この404,000円を、定額控除限度額(年800万円)や接待飲食費の50%基準に当てはめて、損金不算入額を計算します。控除対象外消費税額等4,000円を加算し忘れると、交際費等の額が400,000円のままになり、計算がずれます。
1人1万円の飲食費基準は「経理方式」で判定する
交際費等の範囲から除かれる一定の飲食費の1人当たり10,000円以下(令和6年4月1日以後の支出。改正前は5,000円以下)の判定は、その法人が採用している消費税の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額で行います。
| 経理方式 | 1万円判定に使う価額 |
|---|---|
| 税抜経理方式 | 税抜きの価額で判定 |
| 税込経理方式 | 税込みの価額で判定 |
仕訳・帳簿上の注意点
交際費に係る控除対象外消費税額等は、決算時に控除しきれなかった仮払消費税等として、通常は租税公課などに振り替えられます。
損金不算入額の枠組みのおさらい
加算後の「交際費等の額」を、次の損金不算入額の計算に当てはめます。
- 中小法人:年800万円の定額控除限度額までは損金算入(超過分が損金不算入)と、接待飲食費の50%損金算入のいずれか有利な方を選択
- 大法人:接待飲食費の50%を超える部分が損金不算入(資本金等により扱いが異なる)
まとめ
- 税抜経理で控除対象外消費税額等があるとき、交際費等の損金不算入額の計算では交際費に係る控除対象外消費税額等を交際費の額に加算する(国税庁タックスアンサーNo.6917)
- 加算額 = 交際費に係る仮払消費税等のうち控除できなかった部分
- 1人1万円(改正前5,000円)の飲食費基準は経理方式で判定(税抜経理が有利)
- 帳簿上は租税公課のままでよく、交際費への振替仕訳は不要(加算は申告計算上の処理)
- 加算を忘れると損金不算入額の計算を誤るため、800万円基準・50%基準の前後では特に注意
- 控除対象外消費税額等とは|発生の仕組み・繰延消費税額等の計算を解説
- 交際費の否認事例|税務調査で否認されやすいケースと飲食費の要件
- 短期前払費用の否認事例|1年以内・等質等量・継続適用の要件と注意点
- No.6917 交際費等の損金不算入額を算出する場合における消費税等の取扱い(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6917.htm)
- No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm)
- No.6921 控除対象外消費税額等の処理(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6921.htm)
※本記事は作成時点の法令・通達・国税庁の取扱いに基づく一般的な解説です。具体的な計算・判断は、課税売上割合の計算方法や個別事情により異なります。具体的な判断は税理士へのご相談をおすすめします。


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