中小法人の軽減税率15%とは|適用除外事業者と令和7年改正

法人税

中小企業には、法人税の負担を軽くする「軽減税率」の特例があります。所得のうち年800万円以下の部分について、本来19%のところを15%で計算できる制度です。一方で、同じ中小企業でも「適用除外事業者」に当たると15%が使えず、令和7年度改正では所得10億円超の年に17%へ引き上げる見直しも入りました。自社にどの税率が適用されるのかを正しく押さえておく必要があります。

この記事では、中小企業者等の法人税率の特例について、国税庁・財務省の資料をもとに、税率の区分・計算方法・適用除外事業者・令和7年度改正のポイントを解説します。

この記事のポイント
  • 中小法人は年800万円以下の所得に15%の軽減税率(本則19%)が使える
  • 800万円超の部分は原則23.2%
  • 15%の特例は令和9年3月31日までに開始する事業年度まで延長
  • 適用除外事業者(前3年所得平均15億円超)は15%でなく19%
  • 令和7年度改正で、所得10億円超の年は800万円以下部分が17%に、通算法人は除外

法人税率の基本と中小法人の軽減税率

普通法人の法人税率は原則23.2%です。これに対して、資本金1億円以下の中小法人などには、所得のうち年800万円以下の部分について、税率を軽減する特例が設けられています。本来この軽減後の税率は19%ですが、租税特別措置によりさらに引き下げられ、15%が適用されています。

所得の区分 税率
年800万円以下の部分 15%(本則19%)
年800万円超の部分 23.2%

ここでいう中小法人とは、各事業年度終了時の資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人などをいいます。ただし、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある法人などは、中小法人から除かれます。事業年度が1年に満たない場合は、800万円を月数按分した金額が軽減税率の対象になります。

計算例

資本金1億円以下・所得1,000万円の中小法人(適用除外事業者でない)の場合、法人税額は次のように計算します。

区分 計算
800万円以下の部分 800万円 × 15% = 120万円
800万円超の部分 200万円 × 23.2% = 46.4万円
法人税額 166.4万円
この表は国税(法人税)のみの計算です。実際の会社の税負担は、これに地方法人税・法人住民税・法人事業税などが加わります。法人全体の実効税率はもっと高くなる点に留意してください。

適用除外事業者は15%が使えない

資本金が1億円以下でも、「適用除外事業者」に該当すると、800万円以下の部分の税率は15%ではなく19%になります。適用除外事業者とは、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人をいいます。

これは、資本金は小さくても実質的に規模が大きく、高い所得を継続して稼いでいる法人については、租税特別措置による15%の恩恵を与えない、という趣旨です。15%(措置法による上乗せ軽減)が使えないだけで、本則の19%は適用されるため、800万円超の部分の23.2%とあわせて理解しておきましょう。

区分 800万円以下の税率
一般の中小法人 15%
適用除外事業者(前3年所得平均15億円超) 19%

令和7年度改正のポイント

15%の軽減税率は時限的な措置で、適用期限が繰り返し延長されてきました。令和7年度税制改正では、適用期限の延長とあわせて、いくつかの見直しが行われています。

項目 内容
適用期限の延長 令和9年3月31日までに開始する事業年度まで2年延長
所得10億円超の見直し 所得が年10億円を超える事業年度は、800万円以下部分の税率を17%に引き上げ
通算法人の除外 グループ通算制度の適用法人は本特例の対象外(中小通算法人等は19%)

所得10億円超の年に17%へ引き上げる見直しは、規模の大きい法人への適用を絞る趣旨です。財務省の資料では、この見直しの対象になるのは特例の適用対象企業のうちごくわずか(中小企業全体ではおおむね0.1%程度)とされており、所得が年10億円を超えるような会社はもともと少数です。一般的な中小企業の多くは、引き続き15%の適用を受けられます。

800万円以下部分の税率(改正後) 対象
15% 所得10億円以下の一般的な中小法人
17% 所得が年10億円を超える事業年度
19% 適用除外事業者、グループ通算制度の適用法人(中小通算法人等)

よくある質問(FAQ)

Q1. 資本金が1億円以下なら必ず15%ですか?

いいえ。資本金1億円以下でも、資本金5億円以上の大法人の完全支配下にある場合は中小法人から除かれ、また適用除外事業者(前3年所得平均15億円超)に該当すると15%ではなく19%になります。資本金だけでなく、これらの要件も確認が必要です。

Q2. 800万円はどう数えますか?

その事業年度の所得のうち年800万円以下の部分に15%、超えた部分に23.2%を適用します。事業年度が1年に満たない場合は、800万円を12で割り、その事業年度の月数を掛けた金額が軽減税率の対象になります。

Q3. 地方税も軽減されますか?

この記事で扱った15%・23.2%は国税である法人税の税率です。法人住民税・法人事業税などの地方税にも、中小法人向けの軽減税率や所得区分が別途あります。会社全体の税負担を見るときは、法人税だけでなく地方税もあわせて確認しましょう。

まとめ

中小法人は、年800万円以下の所得について15%の軽減税率(本則19%)を使え、800万円超は23.2%です。15%の特例は令和9年3月31日までに開始する事業年度まで延長されました。ただし、適用除外事業者(前3年所得平均15億円超)は19%、令和7年度改正により所得10億円超の年は17%、グループ通算法人は除外(19%)となります。自社が資本金・所得規模・グループ関係の面でどの税率区分に当たるかを確認し、正しい税率で計算することが大切です。

この記事のまとめ
  • 中小法人は年800万円以下15%(本則19%)、超は23.2%
  • 15%の特例は令和9年3月31日までに開始する事業年度まで延長
  • 適用除外事業者(前3年所得平均15億円超)は19%
  • 令和7年度改正で所得10億円超の年は17%、通算法人は除外(19%)
  • 表の税率は国税のみ。地方税は別に確認が必要

※本記事は作成時点の法令・公表資料(法人税法66条、租税特別措置法42条の3の2、令和7年度税制改正、国税庁・財務省の公表資料等)に基づいています。個別の取扱いは事実関係により異なる場合があるため、具体的な判断は最新の条文・資料の確認、または税理士へのご相談をおすすめします。

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