配偶者控除と配偶者特別控除|令和7年改正後の壁と控除額を解説

所得税

配偶者控除と配偶者特別控除は、「年収の壁」の中心にある制度です。パートで働く配偶者の収入をいくらに抑えるか、という話は、突き詰めればこの2つの控除の仕組みに行き着きます。そして令和7年(2025年)の税制改正で、この2つの控除が見直され、これまで言われてきた「103万円の壁」「150万円の壁」が変わりました。古い情報のままだと判断を誤るため、最新の内容を正しく押さえることが重要です。

この記事では、配偶者控除と配偶者特別控除について、国税庁No.1191・No.1195などをもとに、2つの違い・令和7年改正後の年収の壁・控除額・要件を、わかりやすく解説します。

この記事のポイント
  • 配偶者控除は配偶者の所得が一定以下、配偶者特別控除はそれを超えた場合の段階的な控除
  • 令和7年改正で、配偶者控除の年収上限が103万円から123万円に引き上げ
  • 配偶者特別控除の満額(38万円)の上限が150万円から160万円に引き上げ
  • 控除額は納税者本人の所得が900万円を超えると段階的に減り、1,000万円超でゼロ
  • これらは税金の壁。社会保険の106万円・130万円の壁とは別物

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

どちらも、配偶者がいる納税者の税負担を軽くする所得控除ですが、対象となる配偶者の所得によって、どちらが適用されるかが分かれます。配偶者の所得が一定以下なら配偶者控除、それを超えると配偶者特別控除に切り替わる、という関係です。

区分 配偶者の合計所得(給与収入)
配偶者控除 58万円以下(給与収入123万円以下)
配偶者特別控除 58万円超133万円以下(給与収入123万円超〜約201.6万円未満)

配偶者特別控除は、配偶者の所得が配偶者控除の範囲を超えても、税負担が急に増えないよう、控除額を段階的に減らしていく制度です。配偶者控除から外れた途端に控除がゼロになると働き控えが起きるため、なだらかにする仕組みになっています。なお、どちらの控除も、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが必要で、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。

令和7年改正で壁が変わった

令和7年(2025年)の税制改正で、基礎控除と給与所得控除が見直され、それに連動して配偶者控除・配偶者特別控除の年収の壁も変わりました。具体的には、給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げられたことなどにより、配偶者の年収で見た壁が次のように変わっています。

壁(配偶者の給与年収) 改正前 改正後(令和7年分〜)
配偶者控除(満額)の上限 103万円 123万円
配偶者特別控除(満額38万円)の上限 150万円 160万円
配偶者特別控除が使える上限 約201.6万円 約201.6万円(据置き)

つまり、これまで「103万円の壁」と言われていた、配偶者控除を満額受けられる配偶者の年収上限は123万円に上がりました。配偶者の年収が123万円までなら、納税者はこれまでどおり最大38万円の配偶者控除を受けられます。また、「150万円の壁」と呼ばれていた、配偶者特別控除を満額(38万円)受けられる上限も160万円に引き上げられています。配偶者の年収が160万円までなら、配偶者控除と同額の38万円の控除を受けられます。

改正により、配偶者がこれまでより多く働いても控除の対象となる範囲が広がりました。なお、配偶者特別控除そのものが使える上限は、合計所得133万円(給与収入で約201.6万円)で従来どおりです。これを超えると、配偶者特別控除は受けられなくなります。多くの情報サイトではまだ「103万円・150万円」で解説しているものもあるため、最新の123万円・160万円で判断することが大切です。

控除額は納税者本人の所得で変わる

配偶者控除・配偶者特別控除の控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額によっても変わります。本人の所得が高いほど控除額は減り、合計所得1,000万円を超えると、どちらの控除も受けられません。配偶者控除(配偶者が69歳以下の場合)の控除額は次のとおりです。

納税者本人の合計所得(給与収入の目安) 配偶者控除額
900万円以下(給与約1,095万円以下) 38万円
900万円超950万円以下 26万円
950万円超1,000万円以下 13万円
1,000万円超 適用なし

配偶者がその年の12月31日時点で70歳以上の場合は「老人控除対象配偶者」となり、本人の所得900万円以下なら控除額は48万円とより大きくなります。配偶者特別控除も、本人の所得が900万円を超えると同様に控除額が段階的に減り、1,000万円超で適用されなくなります。共働きで世帯主の所得が高い場合は、控除が縮小・消滅する点に注意が必要です。

配偶者控除の要件

配偶者控除を受けるには、その年の12月31日時点で、配偶者が次の要件をすべて満たす必要があります。配偶者特別控除も、所得要件以外は同様です。

配偶者控除の要件
民法上の配偶者であること(内縁関係は対象外)
納税者と生計を一にしていること
配偶者の合計所得が58万円以下(給与収入123万円以下)であること
青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと

内縁関係は対象外で、戸籍上の配偶者であることが必要です。また、自営業の配偶者が専従者給与を受けている場合は、配偶者控除の対象になりません。

税金の壁と社会保険の壁は別物

ここで混同しやすいのが、配偶者控除・配偶者特別控除に関わる税金の壁(123万円・160万円・201万円)と、社会保険の壁(106万円・130万円)です。この2つはまったく別の制度です。

内容
123万円・160万円・201万円 税金(配偶者控除・配偶者特別控除)の壁
106万円・130万円 社会保険(健康保険・厚生年金の扶養)の壁

配偶者控除・配偶者特別控除は税金(所得税・住民税)の話で、配偶者の収入が増えても控除が段階的に減るだけなので、手取りが急に大きく減ることはありません。一方、社会保険の106万円・130万円の壁を超えると、配偶者自身が社会保険料を負担することになり、手取りへの影響が大きくなります。「働き損」が問題になりやすいのは、むしろ社会保険の壁のほうです。税と社会保険を分けて考えることが、働き方を判断するうえで重要です。社会保険の扶養と税の扶養の違いは、当サイトの関連記事で詳しく解説しています。

まとめ

配偶者控除は配偶者の所得が一定以下の場合、配偶者特別控除はそれを超えた場合に段階的に受けられる所得控除です。令和7年の税制改正で、配偶者控除を満額受けられる配偶者の年収上限が103万円から123万円に、配偶者特別控除を満額受けられる上限が150万円から160万円に引き上げられました。控除額は納税者本人の所得が900万円を超えると減り、1,000万円超でゼロになります。これらは税金の壁であり、社会保険の106万円・130万円の壁とは別物です。働き方を考えるときは、最新の改正後の数字で、税と社会保険を分けて判断することが大切です。

この記事のまとめ
  • 配偶者の所得が一定以下なら配偶者控除、超えると配偶者特別控除(段階的に減額)
  • 令和7年改正で配偶者控除の上限が103万円から123万円に
  • 配偶者特別控除の満額(38万円)の上限が150万円から160万円に。使える上限は約201.6万円
  • 控除額は本人の所得900万円超で減り、1,000万円超で適用なし
  • 税金の壁と社会保険(106万・130万)の壁は別物。分けて考える

※本記事は作成時点の法令・公表資料(所得税法83条・83条の2、国税庁タックスアンサーNo.1190・No.1191・No.1195、令和7年度税制改正関係資料等)に基づいています。令和7年分から適用される改正後の金額で記載しています。個別の取扱いは事実関係により異なる場合があるため、具体的な判断は最新の条文・国税庁資料の確認、または税理士へのご相談をおすすめします。

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