「150万円の壁」は、配偶者特別控除を満額(38万円)受けられるかどうかの分かれ目として知られてきました。しかし令和7年(2025年)の税制改正で、この満額の上限が150万円から160万円に引き上げられました。つまり、これまでの「150万円の壁」は「160万円の壁」に変わったのです。古い情報のまま150万円で考えていると、判断を誤ることになります。
この記事では、150万円・160万円の壁について、国税庁No.1195などをもとに、配偶者特別控除の仕組み・令和7年改正による変更・控除額・約201万円の上限まで、わかりやすく解説します。
- 150万円・160万円の壁は、配偶者特別控除を満額(38万円)受けられる上限
- 令和7年改正で、満額の上限が150万円から160万円に引き上げられた
- 160万円を超えても、控除がゼロになるのではなく段階的に減るだけ
- 配偶者特別控除が使える上限は、年収約201.6万円
- これは税金の壁。社会保険の106万円・130万円の壁とは別物
150万円・160万円の壁とは
150万円・160万円の壁は、配偶者特別控除に関わる壁です。配偶者特別控除は、配偶者の収入が配偶者控除の範囲を超えても、配偶者の所得に応じて段階的に所得控除を受けられる制度です。この控除を満額(38万円)受けられる配偶者の年収の上限が、いわゆる150万円・160万円の壁です。
配偶者の年収がこの壁までなら、扶養する側(夫など)は配偶者控除と同額の38万円の控除を受けられます。壁を超えると、控除額が段階的に減っていきます。重要なのは、壁を超えても控除がいきなりゼロになるわけではなく、なだらかに減るだけだという点です。
令和7年改正で150万円から160万円に
令和7年(2025年)の税制改正で、給与所得控除が見直され(最低額が55万円から65万円に引き上げ)、それに連動して配偶者特別控除の満額の上限も変わりました。これまで配偶者特別控除を満額受けられる配偶者の年収上限は150万円でしたが、改正後は160万円に引き上げられています。
| 区分 | 改正前 | 改正後(令和7年分〜) |
|---|---|---|
| 配偶者特別控除が満額(38万円)の上限 | 年収150万円 | 年収160万円 |
| 配偶者特別控除が使える上限 | 年収約201.6万円 | 年収約201.6万円(据置き) |
つまり、配偶者の年収が160万円までなら、扶養する側は満額38万円の配偶者特別控除を受けられます。これまで「150万円」と言われていたラインが「160万円」に上がったわけです。多くの情報サイトではまだ150万円で解説しているものもあるため、最新の160万円で判断することが大切です。
160万円を超えるとどうなるか
配偶者の年収が160万円を超えると、配偶者特別控除の額が段階的に減っていきます。そして、配偶者の合計所得が133万円(給与収入で約201.6万円)を超えると、配偶者特別控除は受けられなくなります。これが配偶者特別控除の上限である「約201万円の壁」です。
大切なのは、160万円を超えても、控除がいきなりゼロになるわけではないことです。160万円から約201.6万円までの間は、控除額が38万円から徐々に減っていくだけです。配偶者控除から配偶者特別控除へ、そして控除の減少へと、段階的になだらかに変わる設計になっているため、年収が増えた分が一気に無駄になることはありません。「壁を超えると損」と過度に心配して働き控えをする必要は、税金の面ではあまりないといえます。
| 配偶者の年収(給与のみ) | 控除の状況(本人の所得900万円以下の場合) |
|---|---|
| 123万円以下 | 配偶者控除(満額38万円) |
| 123万円超〜160万円 | 配偶者特別控除(満額38万円) |
| 160万円超〜約201.6万円 | 配偶者特別控除(段階的に減少) |
| 約201.6万円超 | 控除なし |
納税者本人の所得にも制限がある
配偶者特別控除は、控除を受ける納税者本人(扶養する側)の合計所得金額にも制限があります。本人の合計所得が900万円を超えると控除額が段階的に減り、1,000万円を超えると配偶者特別控除は受けられません。これは配偶者控除と同じ仕組みです。共働きで世帯主の所得が高い場合は、配偶者の年収が160万円以下でも控除が縮小・消滅することがあるため、注意が必要です。
| 納税者本人の合計所得 | 満額の控除額 |
|---|---|
| 900万円以下 | 38万円 |
| 900万円超950万円以下 | 26万円 |
| 950万円超1,000万円以下 | 13万円 |
| 1,000万円超 | 適用なし |
社会保険の壁との違いに注意
150万円・160万円の壁は税金(配偶者特別控除)の話で、社会保険の壁(106万円・130万円)とは別物です。そして、働き方を考えるうえでより影響が大きいのは、実は社会保険の壁のほうです。160万円の壁を超えても税金の控除が少し減るだけですが、社会保険の106万円・130万円の壁を超えると、自分で社会保険料を負担することになり、手取りへの影響が大きくなります。
配偶者の年収を考えるときは、税金の壁(123万・160万・約201.6万)と社会保険の壁(106万・130万)の両方を見て、どちらの影響が大きいかを判断することが大切です。税と社会保険の扶養の違いや、各社会保険の壁の詳細は、当サイトの関連記事で解説しています。
まとめ
150万円・160万円の壁は、配偶者特別控除を満額(38万円)受けられる配偶者の年収の上限です。令和7年の税制改正で、給与所得控除の引上げに伴い、この満額の上限が150万円から160万円に引き上げられました。160万円を超えても控除はゼロにならず段階的に減るだけで、約201.6万円を超えると控除がなくなります。また、納税者本人の所得が900万円を超えると控除が減り、1,000万円超でなくなります。これは税金の壁であり、手取りへの影響がより大きい社会保険の壁(106万・130万)とは別物です。最新の160万円で、税と社会保険を分けて働き方を考えましょう。配偶者控除・配偶者特別控除の詳細は、当サイトの関連記事もご確認ください。
- 150万円・160万円の壁は配偶者特別控除を満額(38万円)受けられる上限
- 令和7年改正で満額の上限が150万円から160万円に引き上げ
- 160万円超でも控除は段階的に減るだけ。約201.6万円超で控除なし
- 納税者本人の所得900万円超で控除が減り、1,000万円超でなし
- 税金の壁。手取りへの影響が大きい社会保険(106万・130万)の壁とは別物
※本記事は作成時点の法令・公表資料(所得税法83条の2、国税庁タックスアンサーNo.1195、令和7年度税制改正関係資料等)に基づいています。令和7年分から適用される改正後の金額で記載しています。個別の取扱いは事実関係により異なる場合があるため、具体的な判断は最新の条文・国税庁資料の確認、または税理士へのご相談をおすすめします。


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