事業所税の免税点判定を徹底解説|従業者割のパート・出向者・役員等の特殊な取扱いも含む

地方税

事業所税には「免税点」制度があり、一定規模以下の事業者には課税されません。本記事では、事業所税(資産割・従業者割)の免税点の判定方法、免税点以下でも申告が必要となるケースについて詳しく解説します。特に従業者割の免税点判定では、パートタイマー・出向者・役員など特殊な勤務形態の従業者の取扱いが複雑で実務上問題になりやすいため、表とケース別の具体例を交えて徹底解説します。

なお、事業所税の税額の計算に必要な課税標準については「事業所税の課税標準の計算方法を完全解説|資産割・従業者割の計算方法」の記事で詳細に解説しています。

また、「事業所税の免税点判定・課税標準・税額の概算ツール(簡易版)」「事業所税の免税点判定・課税標準・税額の概算ツール(詳細版)」もぜひご活用ください。

  1. 事業所税の免税点(東京都の場合)
  2. 免税点判定の基本原則
    1. 判定の基準日
    2. 免税点判定で除外されるもの
    3. 資産割の免税点判定における非課税部分の取扱い
      1. 非課税となる床面積の2つの分類
      2. 免税点判定で除外される代表的な非課税床面積
      3. 免税点判定での具体的な計算
      4. 非課税と減免・課税標準の特例の違い(重要)
      5. 非課税部分の按分計算が必要なケース
    4. 事業所等の新設・廃止と免税点判定(重要)
  3. 従業者割の免税点判定の詳細について
    1. 高齢者・障害者・雇用改善助成対象者の取扱い
    2. 高齢者等の判定タイミング(重要)
    3. 特殊な勤務形態の従業者の取扱い一覧
    4. 【※1】役員・使用人兼務役員の取扱い
      1. 役員の判定の原則:本社に帰属
      2. 課税区域内外の事業所等を兼務する場合の例外
      3. 非常勤役員と無給役員の違い
    5. 【※2】パートタイマーの判定(特に重要・複雑)
      1. パートタイマーの定義:「相当短時間」とは
      2. 具体的な判定基準:正規従業者の3/4未満かどうか
      3. 原則:就業規則等に勤務時間の定めがあればそれによって判定
      4. 例外:勤務時間の定めがない場合は期末日当日の実勤務時間で判定
      5. 期末日が土日祝で出勤者が少ない場合の取扱い(実務上の重要論点)
      6. 原則・例外のまとめ
      7. 就業規則を整備することの重要性
      8. 免税点判定と課税標準の非対称な扱い
    6. 【※3】日々雇用等の臨時従業員の取扱い
      1. 勤務時間によってパートタイマー扱いに切り替わる
    7. 【※4】出向者の判定(3つのパターン)
      1. 出向の定義
      2. パターン①:出向元のみが給与を支払う場合
      3. パターン②:出向先が出向元に給与相当分を支払う場合
      4. パターン③:出向元と出向先が一部負担している場合
    8. 【※5】中途退職者の取扱い
    9. 【※6】休職中の従業者の取扱い
      1. 具体的なケース別の取扱い
    10. 【※7】在宅勤務者の取扱い
      1. 完全在宅勤務の場合:「一度も出勤なし」が条件
      2. 記録の重要性
    11. 【※8】海外・課税区域外への派遣の取扱い
      1. 「長期」の定義:算定期間を超える期間
      2. 海外出張の給与の取扱い
    12. 【※9】派遣労働者の取扱い
      1. 派遣先での扱いはない
      2. 派遣労働者のパートタイマー判定
      3. 派遣労働者が課税区域外へ派遣されている場合
    13. 【※10】保険外交員の取扱い
      1. 所得税法上の給与か外交員報酬かで判定が分かれる
      2. 判定の確認方法
    14. パートタイマーの判定(特に重要・複雑)
    15. 出向者の判定(3つのパターン)
    16. 役員の取扱い
    17. 従業者数に著しい変動がある場合の特例
  4. 共同事業・みなし共同事業の免税点判定
    1. 共同事業の場合
    2. みなし共同事業の場合
  5. 免税点以下でも申告が必要なケース
  6. 免税点と申告要否のチェックフロー
  7. まとめ

事業所税の免税点(東京都の場合)

事業所税には、一定規模以下の事業者には課税しない「免税点」制度があります。免税点以下の事業者については、事業所税は課税されません。

課税区分 免税点 課税となる基準
資産割 23区内の事業所における期末日時点の事業所床面積の合計1,000㎡以下は課税なし 床面積合計1,000㎡
従業者割 23区内の事業所における期末日時点の従業者数の合計100人以下は課税なし 従業者数合計100人
免税点の判定は、資産割と従業者割それぞれについて独立して行います。例えば、床面積は1,500㎡(免税点超)だが従業者数は90人(免税点以下)の場合、資産割のみ課税となります。

免税点判定の基本原則

判定の基準日

免税点の判定は先ほどの表においても触れていますが、課税標準の算定期間の末日の現況により行います。つまり法人の場合は事業年度終了日、個人の場合は12月31日(事業の廃止の場合は廃止日)の状態で判定します。

免税点判定で除外されるもの

区分 判定から除外されるもの
資産割の免税点判定 非課税部分の床面積を除いて判定
従業者割の免税点判定 高齢者(65歳以上)・障害者(いずれも役員除く)と非課税に係る従業者を除いて判定
免税点判定の例

A社の状況:

  • 事業所床面積:1,500㎡(うち非課税部分300㎡)
  • 従業者数:70人

資産割の免税点判定:1,500㎡ − 300㎡ = 1,200㎡ > 1,000㎡

→ 免税点超のため資産割は課税

従業者割の免税点判定:70人 ≦ 100人

→ 免税点以下のため従業者割は課税なし

資産割の免税点判定における非課税部分の取扱い

資産割の免税点判定では、事業所床面積から非課税となる部分の床面積を控除した残額で1,000㎡超かどうかを判定します。ここで「非課税部分」が具体的に何を指すのか、実務上問題になりやすい論点ですので、以下に詳しく解説します。

非課税となる床面積の2つの分類

事業所税における非課税は、大きく分けて「人的非課税」「用途非課税(物的非課税)」の2つに分類されます。

分類 内容 代表例
人的非課税 特定の事業者(国・地方公共団体・公益法人等)が行う事業に係る事業所等 国、地方公共団体、公共法人、公益社団・財団法人、宗教法人、学校法人、社会福祉法人 等
用途非課税 特定の用途に供する事業所等(事業者の種類を問わない) 学校、病院・診療所、社会福祉施設、博物館、図書館、公衆浴場、駐車場の一部 等

免税点判定で除外される代表的な非課税床面積

営利法人でも該当する可能性がある「用途非課税」のうち、実務上よく問題になる代表例を以下に挙げます。

非課税の対象 主な内容
駐車場(一部) 駐車場法に基づく一定の路外駐車場、建築物の付置義務に基づく駐車場など。一般の事業者が単に保有する駐車場は通常課税対象。
病院・診療所 医療法に規定する病院・診療所等の用に供する施設(一般企業内の医務室等も一定要件を満たせば対象)
保育施設・認定こども園 児童福祉法に規定する保育所、認定こども園(事業所内保育所も一定要件を満たせば対象)
教育施設 学校教育法上の学校、専修学校・各種学校等の用に供する施設
社会福祉施設 老人福祉施設、障害者支援施設、その他社会福祉法に規定する社会福祉事業の用に供する施設
博物館・図書館 博物館法上の博物館、図書館法上の図書館等
公衆浴場 物価統制令の適用を受ける一般公衆浴場(いわゆる銭湯)の用に供する施設
上記はあくまで代表例です。事業所税の非課税床面積は地方税法701条の34に詳細に定められており、それぞれ細かい要件があります。自社の事業所等に非課税部分があるか判断に迷う場合は、所管の都税事務所等にご確認ください。詳しい非課税の範囲は別記事「事業所税の非課税・課税標準の特例・減免を完全解説|申請手続きも紹介」もご覧ください。

免税点判定での具体的な計算

非課税部分がある場合、免税点判定では「事業所等の合計床面積」から「非課税床面積」を控除した課税床面積で判定します。

免税点判定用の床面積 = 23区内の合計事業所床面積 − 非課税部分の床面積
具体例:医療施設を持つ企業のケース

23区内に本社ビル(オフィス用途)と附属の診療所を構える法人B社:

  • 本社ビル総床面積:1,300㎡
  • うち診療所部分:400㎡(医療法上の診療所として運営)

免税点判定:1,300㎡ − 400㎡(非課税部分) = 900㎡

→ 900㎡ ≦ 1,000㎡なので、資産割は免税点以下で課税なし

ただし、合計床面積が800㎡を超えているため、免税点以下申告書の提出は必要です(後述)。

非課税と減免・課税標準の特例の違い(重要)

事業所税には「非課税」「課税標準の特例」「減免」という3つの軽減措置がありますが、免税点判定での取扱いがそれぞれ異なるため、混同しないように注意が必要です。

区分 免税点判定での取扱い 説明
非課税 控除する 非課税床面積は免税点判定上の床面積から控除します(上記の例)
課税標準の特例 控除しない 課税標準の特例(1/2控除等)は税額計算時の特例。免税点判定では控除前の床面積をそのまま使用します。
減免 控除しない 減免は申告税額の納付段階での減額措置。免税点判定では減免対象部分もそのままカウントします。
実務上の注意点:「課税標準の特例」や「減免」の対象となる床面積は、免税点判定の段階では除外できません。例えば、課税標準の1/2控除の特例が適用される施設(情報処理用機器の研究施設等)が500㎡、その他のオフィス床面積が700㎡(合計1,200㎡)の場合、免税点判定上は1,200㎡として扱われるため、免税点超(課税対象)となります。非課税床面積と混同しやすいので注意してください。また、倉庫の一区画を使っていないなど、事業所の一部を休止している場合の取扱いについては別記事「事業所税と休止施設|操業停止部分の課税標準の扱いを解説」にて詳しく解説しています。

非課税部分の按分計算が必要なケース

1つの事業所等の中で、課税部分と非課税部分が物理的に明確に区分されている場合は問題ありませんが、共用部分(廊下・トイレ・エレベーターホール・階段室等)がある場合は、その共用部分を課税部分と非課税部分とで按分する必要があります

共用部分の按分計算の例

本社ビル(合計1,800㎡)の内訳:

  • 専用部分:1,500㎡(うち課税部分1,200㎡、非課税部分300㎡)
  • 共用部分:300㎡

共用部分の按分

  • 課税部分への按分:300㎡ × 1,200㎡ / 1,500㎡ = 240㎡
  • 非課税部分への按分:300㎡ × 300㎡ / 1,500㎡ = 60㎡

免税点判定用の課税床面積:1,200㎡+240㎡ = 1,440㎡

→ 1,440㎡ > 1,000㎡なので、資産割は免税点超で課税

事業所等の新設・廃止と免税点判定(重要)

課税標準の算定では新設・廃止について月割計算を行いますが、免税点の判定では月割計算を行いません。算定期間末日の現況による判定です。

具体例:事業年度末日の1か月前に1,200㎡の事業所を新設した場合
・課税標準(月割):1,200㎡ × 1/12 = 100㎡
免税点判定:1,200㎡(末日現況)でカウント → 免税点超
このように、課税標準は月割で減額されても、免税点判定は末日現況なので、新設直後の事業所等でも床面積がそのままカウントされます。

従業者割の免税点判定の詳細について

従業者割の免税点判定は、特殊な勤務形態の従業者の取扱いが複雑で、実務上問題になりやすい論点です。以下、勤務形態ごとに詳しく解説します。

高齢者・障害者・雇用改善助成対象者の取扱い

従業者割の免税点判定および課税標準の算定にあたっては、以下の者について特別な取扱いがあります。

区分 対象 免税点判定 課税標準
高齢者 年齢65歳以上の者(役員を除く) 除外 給与等を全額除く
障害者 所得税・住民税の障害者控除対象者(役員を除く) 除外 給与等を全額除く
雇用改善助成対象者 55歳以上65歳未満で、雇用保険法等の助成対象者(特定求職者雇用開発助成金等) 通常通り含める 給与等の1/2を除く
3者の取扱いの違い:高齢者(65歳以上)と障害者は、免税点判定の人数からも除外され、給与等も全額除く取扱いになっています。一方、雇用改善助成対象者(55歳以上65歳未満で助成対象者)は、免税点判定の人数には通常通り含めますが、給与等の1/2のみ課税標準から除くという、人数判定と給与の両面で異なる取扱いになります。

高齢者等の判定タイミング(重要)

高齢者・障害者・雇用改善助成対象者であるかどうかの判定は、その者に対して給与等が支払われる時の現況によります。「給与等が支払われる時の現況」とは、従業者の給与の計算の基礎となる期間(月給、週給等の期間)の末日の現況をいいます。

具体例:月の途中で65歳になった場合

7月16日から8月15日までの期間の給与を8月25日に支給する法人で、従業員Aが8月10日に65歳になった場合:

  • 8月15日(給与計算期間の末日)現在で65歳に該当
  • そのため、8月25日以降に支給される給与等が控除対象となる
  • 8月25日支給分(7/16〜8/15期間分)以降、課税標準から除外

特殊な勤務形態の従業者の取扱い一覧

東京都主税局「事業所税の手引」では、特殊な勤務形態にある従業者の取扱いを以下のとおり詳細に規定しています。免税点判定と課税標準で取扱いが異なる場合があるため、注意が必要です。※印が付いている項目は、勤務時間や条件によって取扱いが異なるため、表の下の注釈を必ずご確認ください。

勤務形態 免税点判定 課税標準(給与総額)
役員・使用人兼務役員※1(高齢者含む) 従業者に含める 給与総額に含める
無給の役員 含めない 含めない(給与なし)
非常勤の役員 含める 含める
数社の役員兼務 それぞれの会社の従業者に含める それぞれの会社の給与総額に含める
パートタイマー※2 含めない 含める
日々雇用等の臨時従業員※3 含める 含める
出向元が給与を支払※4 出向元の従業者に含める 出向元の給与総額に含める
出向先が出向元に給与相当分を支払※4 出向先の従業者に含める 出向先の給与総額に含める
出向元と出向先が一部負担※4 主たる給与を支払う会社の従業者 それぞれの会社の給与総額に含める
中途退職者※5 含めない 退職時までの給与等を含める
休職中の従業者※6 給与が一度でも支払われていれば含める 含める
在宅勤務者※7 含めない 含めない
海外・課税区域外への派遣※8 含めない 含めない
派遣労働者(労働者派遣法)※9 派遣元の従業者に含める 派遣元の給与総額に含める
常時船舶の乗組員 含めない 含めない
保険外交員※10 所得税法上の給与等が支払われている場合は含める 所得税法上の給与等は含める
免税点判定と課税標準で取扱いが異なる主な例:パートタイマーと中途退職者は、免税点判定では人数に含めないが、給与総額には含めるという非対称な取扱いになっています。実務で間違いやすいポイントです。

【※1】役員・使用人兼務役員の取扱い

事業所税における「役員」とは、原則として法人税法上の役員と同義です(法人税法2条15号、同施行令7条、法人税基本通達9-2-1)。具体的には、法人の取締役・執行役・会計参与・監査役・理事・監事・清算人等のほか、相談役・顧問その他これに類する者で法人の経営に従事している者も含まれます。

役員の判定の原則:本社に帰属

役員は法人全体の経営に従事していることから、勤務すべき場所は本社であると考えられます。したがって、原則として免税点判定においては本社の従業者に含めます。役員報酬・役員賞与も本社の従業者給与総額に含めます。

例えば、東京都23区内に本社、横浜市(課税区域外)に支店がある法人で、A取締役が本社・支店の経営を両方見ている場合でも、原則としてA取締役は本社(23区内)の従業者として1人カウントされ、A取締役の役員報酬は本社の従業者給与総額に含めます。

課税区域内外の事業所等を兼務する場合の例外

ただし、役員および使用人兼務役員が、課税区域内(東京都23区内)と課税区域外の事業所等を兼務する場合は、その役員および使用人兼務役員の勤務すべき場所は兼務に係るそれぞれの事業所等であると考えられます。そのため、免税点の判定上はそれぞれに含まれることになります。

この場合の課税標準(給与総額)の取扱いは少し複雑です。役員報酬・役員賞与については引き続き本社の従業者給与総額に含めますが、使用人兼務役員の「使用人としての給与」は、勤務地の従業者給与総額に含めます。これは、使用人としての給与部分は本来の役員報酬とは性質が異なり、実際の労務提供地に対応すべきと考えられているためです。

具体例:使用人兼務役員Aさんのケース

A使用人兼務役員(東京本社の取締役兼営業部長、月の半分は横浜支店で勤務)の給与構成:

  • 役員報酬:月50万円(取締役としての分)
  • 使用人給与:月30万円(営業部長としての分)

免税点判定:本社と横浜支店の両方に1人ずつカウント

本社の給与総額:役員報酬50万円+(使用人給与のうち本社勤務分相当)

横浜支店の給与総額:使用人給与のうち横浜支店勤務分相当(ただし横浜は事業所税の課税区域外)

非常勤役員と無給役員の違い

非常勤役員であっても、給与(役員報酬)が支払われていれば免税点判定および課税標準ともに含めます。一方、無給の役員は、給与の支払いがないため免税点判定でも従業者にカウントせず、当然ながら課税標準にも含めません。

無給役員の典型例としては、親会社の役員が子会社の取締役を兼務しているが、子会社からは役員報酬を受け取らないケースなどがあります。この場合、子会社では無給役員として扱い、免税点判定や課税標準には影響しません。

【※2】パートタイマーの判定(特に重要・複雑)

事業所税における「パートタイマー」の取扱いは、実務上もっとも誤解されやすい論点の一つです。重要なポイントは、「パート」「アルバイト」という呼称ではなく、実際の勤務時間で判定することです。

パートタイマーの定義:「相当短時間」とは

東京都主税局「事業所税の手引」では、パートタイマーを「形式的な呼称ではなく、勤務の状態によって判定されるもの」と明確に定義しています。具体的には、当該事業所等の通常の勤務時間より相当短時間の勤務をすることとして雇用されているものをいい、免税点の判定における従業者の範囲から除かれます。

そして「相当短時間の勤務をすることとして雇用されているもの」とは、就業規則等で定められた1日の所定労働時間(就業規則等に勤務時間の規定がない場合には、免税点判定日における実勤務時間)が同一事業所等に雇用される同一職種の正規従業者と比較して4分の3未満であるものをいいます。

具体的な判定基準:正規従業者の3/4未満かどうか

正規従業者の1日の所定労働時間が8時間の場合を例に考えてみましょう。この場合、「相当短時間」とは8時間×3/4=6時間より少ない勤務、つまり1日の所定労働時間が6時間未満の従業者が「相当短時間勤務」(パートタイマー)に該当します。

同様に、正規従業者の所定労働時間が7.5時間の事業所等の場合は、7.5時間×3/4=5.625時間より少ない勤務時間、つまり1日5.6時間(5時間36分)未満の勤務がパートタイマー扱いとなります。

誤解されやすいポイント:「アルバイト」「パート」「契約社員」といった呼称は判定基準ではありません。例えば、1日6時間以上勤務するパート従業員は「パートタイマー」に該当せず、通常の従業者として免税点判定に含めます。逆に、契約社員という肩書きでも所定労働時間が正規従業者の3/4未満であれば、パートタイマー扱いとなり免税点判定から除外されます。

原則:就業規則等に勤務時間の定めがあればそれによって判定

パートタイマー判定の原則は、就業規則・雇用契約書等に定められた1日の所定労働時間に基づいて行います。就業規則等で「1日の所定労働時間は8時間とする」「パートタイマーの所定労働時間は1日5時間とする」のように明確に規定されていれば、その規定に従って判定します。所定労働時間が正規従業者の3/4以上であればパートタイマーに該当せず、3/4未満であればパートタイマーとして免税点判定から除外されます。

この原則的な判定では、期末日(免税点判定日)にその従業者が実際に出勤していたかどうかは関係ありません。あくまで就業規則等で定められた所定労働時間で判定されるため、たまたま期末日が休日や有給休暇で出勤していなかったとしても判定結果に影響しません。

例外:勤務時間の定めがない場合は期末日当日の実勤務時間で判定

就業規則等に勤務時間の規定がない場合は、免税点判定日(算定期間の末日)における実勤務時間で判定します。その日に実際にどれだけ勤務したかが判定の基準となります。

ここで重要なのは、「就業規則等に勤務時間の規定がない場合」には、以下のようなケースが含まれる点です。

  • 就業規則自体に勤務時間の定めがない場合(記載漏れや、小規模事業者でそもそも就業規則がない場合など)
  • 就業規則に勤務時間の定めはあるものの、シフト制等で規則性がなく、具体的に1日何時間と定めがない場合(小売・飲食・サービス業のシフト勤務など)

つまり、シフト制で日によって勤務時間がまちまちで、就業規則等から「1日何時間」と一義的に決まらない従業者は、後者のケースに該当し、期末日当日の実勤務時間で判定されることになります。

期末日が土日祝で出勤者が少ない場合の取扱い(実務上の重要論点)

上記の例外(勤務時間の定めがない、またはシフト制等で規則性がない場合)に該当する事業者で、免税点判定日となる期末日が土日祝日に当たり、多くの従業者が休みの場合は、その日に出勤していない従業者については「実勤務時間ゼロ時間」として判定されることになります。形式的に判定すれば、ゼロ時間は当然「正規従業者の所定労働時間の4分の3未満」に該当するため、結果的に多くの従業者がパートタイマー扱いとなり、免税点判定から除外される可能性があります。

東京都主税局(都税事務所)への確認結果:上記の取扱いについて、意図的に課税を回避できてしまうのではないかという疑問が生じるところですが、東京都においては、あくまでも期末日(免税点判定日)当日の実情で判定する旨を、都税事務所への問い合わせで確認しています。すなわち、期末日が土日祝日で休みのため出勤していない従業者については、当日の実勤務時間がゼロであるため、形式的にはパートタイマー(相当短時間勤務)として免税点判定から除外される結果となります。
実務上の注意点:この取扱いは東京都の都税事務所への問い合わせに基づくものであり、他の課税団体(政令指定都市等)では異なる解釈・運用がなされる可能性があります。また、東京都においても今後の通達改正等で取扱いが変わる可能性があるため、判定に迷う場合は事前に所管の都税事務所へ確認することをお勧めします。なお、就業規則等で勤務時間が明確に定められている場合は、休日の有無にかかわらず所定労働時間で判定されるため、こうした取扱いの問題は生じません。

原則・例外のまとめ

区分 判定基準 具体例
原則 就業規則等の所定労働時間で判定 「1日の所定労働時間は8時間」と就業規則に明記されている正社員等
例外 期末日当日の実勤務時間で判定 (1)就業規則に勤務時間の定めがない場合
(2)シフト制等で具体的な勤務時間が一義的に決まらない場合

就業規則を整備することの重要性

上記のような期末日の偶然による判定のブレを避けるためにも、就業規則等で各従業者の所定労働時間を明確に規定しておくことが重要です。所定労働時間が就業規則等で明確であれば、期末日の実勤務状況に関わらず、規定された所定労働時間に基づいて判定が行われるため、安定した判定が可能となります。

免税点判定と課税標準の非対称な扱い

パートタイマーの取扱いで最も注意すべきは、免税点判定では除外されるが、給与総額(課税標準)には含めるという非対称な扱いです。例えば1日4時間勤務のパート従業員50人がいる場合、これらは免税点判定(100人超かどうか)の頭数にはカウントされませんが、彼らに支払った給与は従業者給与総額に含めて、課税標準として税率0.25%が適用されます。

具体例:飲食店チェーン本社の免税点判定

23区内に本社を持つ飲食店チェーンA社の従業者構成(事業年度末日時点):

  • 正社員:80人(1日8時間勤務)
  • パート(1日4時間勤務):60人
  • パート(1日6時間勤務):10人
  • アルバイト(1日3時間勤務):30人

免税点判定(4分の3=6時間未満が「パートタイマー」)

  • 正社員80人:通常の従業者として含める
  • パート(4時間)60人:相当短時間 → 除外
  • パート(6時間)10人:相当短時間に該当せず(6時間は3/4の境界) → 含める
  • アルバイト(3時間)30人:相当短時間 → 除外

免税点判定上の人数:80+10=90人 ≦ 100人 → 免税点以下

ただし、課税標準の従業者給与総額には全員(正社員・パート・アルバイト含む)の給与を含めます。

【※3】日々雇用等の臨時従業員の取扱い

日々雇用、つまり1日単位で雇用契約を結ぶ臨時従業員(日雇い労働者)は、原則として免税点判定の従業者数に含めます。同様に、給与(賃金)は従業者給与総額にも含めます。

勤務時間によってパートタイマー扱いに切り替わる

ただし、日々雇用の臨時従業員であっても、1日の勤務時間が正規従業者の4分の3未満であれば、上記※2のパートタイマーとして取り扱われ、免税点判定から除外されます。

例えば、建設現場で1日8時間勤務する日雇い労働者は日々雇用の臨時従業員として免税点判定に含めますが、1日4時間しか働かない日雇い労働者は「相当短時間勤務」のパートタイマーとして免税点判定から除外されることになります。

実務上は、日々雇用の臨時従業員一人ひとりの勤務時間を個別に確認する必要があります。事業年度末日に多数の日雇い労働者がいる業種(建設業・運送業・イベント業など)では、各人の勤務状況を整理して判定することが重要です。

【※4】出向者の判定(3つのパターン)

出向者の事業所税における取扱いは、給与の負担関係によって判定が異なるため、実務上もっとも複雑な論点の一つです。

出向の定義

東京都主税局「事業所税の手引」によれば、「出向」とは、出向元企業と出向従業者の雇用関係を維持しながら、当該従業者の指揮監督権を出向先企業に賦与し、出向先企業において労務を提供させるものをいいます。出向者は出向元との雇用関係は維持されたまま、実際の労務は出向先で提供する形になります。

パターン①:出向元のみが給与を支払う場合

もっとも一般的な出向形態で、給与の支払いは引き続き出向元が行い、出向先からは出向元に対して何も支払われない(または出向先が出向元に対して支払う金銭が法人税法上「給与」として取り扱われない)場合です。

この場合、出向者は出向元の従業者として取り扱い、出向元で免税点判定の頭数にカウントするとともに、出向者に支払う給与は出向元の従業者給与総額に含めます。出向先側では、出向者は従業者にも給与総額にも含めません。

パターン②:出向先が出向元に給与相当分を支払う場合

出向先の会社が出向元の会社に対して「経営指導料」「業務委託料」などの名目で給与相当額を支払うケースがあります。この場合、その支払いが法人税法上「給与」として取り扱われる場合(法人税基本通達9-2-45)は、出向者は出向先の従業者として取り扱います。

つまり、出向先で免税点判定の頭数にカウントするとともに、給与(実質的に出向先が負担した部分)は出向先の従業者給与総額に含めます。一方、出向元では従業者にも給与総額にも含めません。

法人税基本通達9-2-45との関係

法人税基本通達9-2-45では、出向先法人が出向元法人に対して支出する金銭の額のうち、出向者の給与相当額については原則として給与として取り扱うとされています。具体的には、出向先での出向者の給与水準と、出向元での出向者への支給額を比較し、その差額の調整として支払われる経営指導料等は、法人税法上「給与」として扱われます。

事業所税においても、この法人税基本通達の判定に基づき、出向先が「給与」として支払っていると認められる金額があれば、出向者は出向先の従業者と判定されることになります。

パターン③:出向元と出向先が一部負担している場合

出向者の給与を、出向元と出向先が一部ずつ負担しているケースもあります。例えば、出向元が月給の60%、出向先が40%を負担しているような場合です。

このような場合の免税点判定は、「主たる給与」を支払う会社の従業者として取り扱います。「主たる給与を支払う会社」とは、法人税法上、給与として取り扱われる金額を含めたうえで、出向従業者に対する給与等に係る負担額がより多い会社をいいます。

つまり、給与負担額が多い方の会社で免税点判定の頭数1人としてカウントされ、他方の会社では頭数にカウントされません。

課税標準(給与総額)は別ルール:免税点判定では「主たる給与支払者」1社のみで判定しますが、課税標準である従業者給与総額は、それぞれの会社が実際に負担した給与額を、それぞれの会社の従業者給与総額に含めます。例えば出向元が60万円、出向先が40万円を負担している場合、給与総額への計上額は出向元60万円・出向先40万円となります。免税点判定と課税標準で帰属の考え方が異なるため、実務では特に注意が必要です。

【※5】中途退職者の取扱い

事業年度の途中で退職した従業者は、算定期間末日には在籍していないため、免税点判定では従業者数に含めません(末日現況で判定するため)。

しかし、退職時までに当該従業者に支払われた給与等は、従業者給与総額(課税標準)には含めます。これは、課税標準である従業者給与総額が「算定期間中に支払われた又は支払われるべき給与の総額」と定義されていることによります。

具体例:6月末退職の従業員Bさん

3月31日決算法人のB社で、Bさんが6月30日に退職した場合:

  • 事業年度:4月1日〜翌3月31日
  • Bさんへの給与支払期間:4月分・5月分・6月分の計3か月分
  • 3月31日(事業年度末日)時点ではBさんは在籍していない

免税点判定(人数カウント):Bさんは末日不在のため、含めない

従業者給与総額:Bさんに支払った3か月分の給与は含める

このように、免税点判定と課税標準で扱いが異なる点が中途退職者の特徴です。離職者が多い業種(小売業・飲食業など)では、退職者の給与をすべて従業者給与総額に集計する必要があるため、税額への影響が大きくなります。

【※6】休職中の従業者の取扱い

休職中の従業者については、算定期間中に給与等が一度でも支払われていれば、免税点判定および課税標準ともに含めます。逆に、無給休職で算定期間中に給与の支払いが一切ない場合は、免税点判定にも給与総額にも含めません。

具体的なケース別の取扱い

例えば、産前産後休業や育児休業中の従業者については、休業期間中に給与の一部(または出産手当金・育児休業給付金以外の給与)が支払われているかどうかで判定が変わります。

  • 給与が一部でも支払われている場合:免税点判定・課税標準ともに含める
  • 給与の支払いが一切なく、健康保険からの傷病手当金や雇用保険からの育児休業給付金のみ受給:免税点判定・課税標準ともに含めない(これらは「給与」ではないため)
  • 会社負担の社会保険料のみ発生し、給与は無支給:給与の支払いはないため含めない

「一度でも」というキーワードに注意が必要で、年初に1か月分だけ給与を受け取った後、その後ずっと無給休職になっている場合でも、当該従業者は免税点判定の人数にカウントされます。

【※7】在宅勤務者の取扱い

近年急速に普及した在宅勤務者の取扱いは、事業所税の判定上、特に注意が必要です。

完全在宅勤務の場合:「一度も出勤なし」が条件

東京都主税局「事業所税の手引」では、在宅勤務者について「算定期間中、一度も課税区域内の事業所等に出勤しない場合は、従業者に含めない」と規定しています。同様に、給与総額にも含めません。

つまり、「ほとんどリモートワークで月1〜2回しか出社していない」という場合でも、出社事実が1回でもあれば、その従業者は通常の従業者として免税点判定および給与総額にカウントされます。免税点判定から除外できるのは、算定期間中に1回も出社していない完全在宅勤務者のみです。

地方在住で23区内の本社に所属する従業員のケース:例えば、北海道に住んでいて完全リモートワークで東京本社に所属する従業員がいる場合、その従業員は算定期間中に1回も23区内の事業所に出勤していなければ、東京本社の免税点判定からも給与総額からも除かれます。逆に、出張等で1回でも23区内に出社していれば通常の従業者として扱われます。

記録の重要性

在宅勤務者の判定では、各従業者が算定期間中に実際に何回事業所等に出社したかを記録しておくことが重要です。タイムカードや入退館記録、勤怠管理システムのログなどで出社実績を確認できる体制を整えておくと、税務調査でも適切に説明できます。

【※8】海外・課税区域外への派遣の取扱い

海外赴任や課税区域外(東京23区外)への派遣・出張が「長期」に及ぶ場合は、免税点判定および給与総額から除外されます。

「長期」の定義:算定期間を超える期間

ここで重要なのが「長期」の意味です。東京都主税局「事業所税の手引」では、「長期」とは課税標準の算定期間を超える期間を指すと明確に定義しています。法人の場合、課税標準の算定期間は事業年度ですから、つまり1事業年度を超える期間の海外赴任や課税区域外派遣が「長期」に該当します。

逆に言えば、算定期間内に戻ってくる出張・派遣(短期出張)は通常の従業者として免税点判定および給与総額にカウントします。

具体例:海外赴任のケース別判定
  • 3年間のアメリカ駐在(事業年度1年)→ 算定期間を超える「長期」 → 免税点判定・給与総額から除外
  • 10か月の中国出張(事業年度3月決算で4月〜翌1月)→ 1事業年度内に終了 → 通常の従業者として含める
  • 事業年度をまたぐ8か月の派遣(事業年度3月決算で12月〜翌7月)→ 算定期間(事業年度)を超える → 「長期」として除外

海外出張の給与の取扱い

海外への出張の場合、出張者の給与が所得税の対象外であれば従業者給与総額には含めません。これは、海外勤務者で非居住者となった者の国外源泉所得について所得税が課されないことに対応した取扱いです。1年以上の海外勤務予定で非居住者となった場合、その期間中の海外勤務分の給与は所得税の課税対象外となり、事業所税の従業者給与総額からも除かれます。

【※9】派遣労働者の取扱い

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)に基づく派遣労働者は、派遣元の従業者として取り扱います。給与(賃金)も派遣元の従業者給与総額に含めます。

派遣先での扱いはない

派遣先の事業所等では、たとえ派遣労働者が常駐していても、派遣先の従業者および給与総額には含めません。これは、派遣労働者と雇用契約を結んでいるのは派遣元であり、給与を支払っているのも派遣元であることに対応した取扱いです。

例えば、東京23区内のA社が派遣会社B社(23区内)から派遣労働者10名を受け入れている場合、これら10名はB社(派遣元)の従業者として免税点判定および給与総額にカウントされ、A社(派遣先)の判定には影響しません。

派遣労働者のパートタイマー判定

派遣労働者についてパートタイマー判定(※2参照)を行う場合、派遣元の通常の従業者と比較して判断します。派遣先の従業者と比較するわけではない点に注意が必要です。

例えば、派遣元の正規従業者の所定労働時間が8時間、派遣先の正規従業者が7時間の場合、派遣労働者の所定労働時間が6時間であれば、派遣元基準(8時間×3/4=6時間未満)では「相当短時間」に該当せず、パートタイマー扱いになりません。派遣元の通常の従業者として免税点判定に含まれます。

派遣労働者が課税区域外へ派遣されている場合

派遣元が23区内にあっても、派遣労働者が課税区域外(例:横浜市など)へ派遣されている場合は、免税点判定には含めず、その期間中に支払われた給与についても従業者給与総額から除きます。これは、派遣労働者の実際の労務提供地が課税区域外であることに対応した取扱いです。

【※10】保険外交員の取扱い

保険外交員(生命保険・損害保険の外務員)の取扱いは、給与等の支払形態によって変わります。

所得税法上の給与か外交員報酬かで判定が分かれる

所得税法上の給与等が支払われている場合は、保険外交員は通常の従業者として免税点判定に含め、給与等は従業者給与総額にも含めます。

一方、保険会社等によくある「外交員報酬」として支払われる場合(事業所得や雑所得として処理されるケース)は、所得税法上の給与所得に該当しないため、免税点判定および給与総額のいずれからも除外されます。

判定の確認方法

具体的な判定は、保険外交員に対して給与所得の源泉徴収票が交付されているか、報酬料金等の支払調書が交付されているかで確認できます。源泉徴収票が交付されている場合は給与所得として扱われており、免税点判定および給与総額に含めます。

同様の取扱いは、その他「外交員その他これらに類する者」(不動産仲介の歩合制従事者、訪問販売員など)にも適用されます。所得税の取扱い上、給与所得に該当する場合のみ事業所税の従業者給与総額に含めます。

事業所税における従業者給与総額の範囲は所得税法上の給与と意義を同じくするため、所得税の取扱い上「給与所得」に該当するか「事業所得・雑所得」に該当するかが基本的な判定基準となります。源泉徴収義務の有無や、給与所得の源泉徴収票の交付状況を確認することが実務上のポイントです。

パートタイマーの判定(特に重要・複雑)

「パートタイマー」は形式的な呼称ではなく、勤務の状態によって判定されるものです。具体的には、就業規則等で定められた1日の所定労働時間が、同一事業所等に雇用される同一職種の正規従業者と比較して4分の3未満であるものをいい、免税点判定における従業者の範囲から除かれます。

パートタイマー判定の具体例

正規従業者の1日の所定労働時間が8時間の場合:

  • 8時間 × 3/4 = 6時間
  • 1日の所定労働時間が6時間未満の従業者=相当短時間の勤務をするもの=パートタイマーとして免税点判定から除外
  • 1日の所定労働時間が6時間以上の従業者は、たとえ「パート」と呼ばれていても免税点判定に含める
注意点
① 「パート」「アルバイト」という呼称は関係なく、所定労働時間で判定します。
② 就業規則等に勤務時間の規定がない場合は、免税点判定日における実勤務時間で判定します。
派遣労働者は派遣元の通常の従業者と比較して判断します(派遣先の従業者ではない)。
④ パートタイマーは免税点判定では除外されますが、給与総額には含めます

出向者の判定(3つのパターン)

出向者の取扱いは、給与の負担関係によって判定が異なります。出向とは、出向元企業と出向従業者の雇用関係を維持しながら、その従業者の指揮監督権を出向先企業に賦与し、出向先企業において労務を提供させるものをいいます。

パターン 判定基準 免税点判定の帰属
①出向元のみが給与支払 出向元が出向者に対し直接給与を支払 出向元の従業者
②出向先が出向元に給与相当分を支払 出向先が支払う経営指導料等が、法人税法上「給与」として取り扱われる場合 出向先の従業者
③出向元と出向先が一部負担 出向先・出向元が一部ずつ給与を負担 主たる給与を支払う会社の従業者
「主たる給与を支払う会社」とは:法人税法上、給与として取り扱われる金額を含めたうえで、出向従業者に対する給与等に係る負担額がより多い会社をいいます(法人税基本通達9-2-45参照)。
課税標準(給与総額)の取扱い:出向元と出向先が一部負担している場合、免税点判定は主たる給与支払者の1社のみで判定しますが、給与総額(課税標準)はそれぞれの会社が実際に負担した金額を各社の給与総額に含めます。免税点判定と課税標準の帰属が異なるため、注意が必要です。

役員の取扱い

役員とは、法人税法上の役員と同義で、法人の取締役・執行役・会計参与・監査役・理事・監事・清算人等のほか、相談役・顧問その他これに類する者で法人の経営に従事している者をいいます。

役員の判定の原則
  • 役員は法人全体の経営に従事していることから、勤務すべき場所は本社と考えられる
  • 原則として免税点判定において本社の従業者に含める
  • 役員報酬・役員賞与は本社の従業者給与総額に含める
課税区域内外の事業所等を兼務する場合

役員および使用人兼務役員が、課税区域内(23区内)と課税区域外の事業所等を兼務する場合:

  • 勤務すべき場所は兼務に係るそれぞれの事業所等と考えられる
  • 免税点判定上はそれぞれに含まれる
  • 使用人兼務役員の使用人としての給与は、勤務地の従業者給与総額に含める
  • 役員報酬・役員賞与は引き続き本社の給与総額に含める

従業者数に著しい変動がある場合の特例

課税標準の算定期間中を通じて従業者数に著しい変動がある事業所等については、各月末日現在の従業者数の合計を算定期間の月数で除した数を、算定期間末日現在の従業者数とみなします(地方税法701条の43第4項)。

みなし従業者数 = 算定期間に属する各月末日現在における従業者数を合計した数 ÷ 算定期間の月数
「著しい変動」とは一の事業所等の単位で、課税標準の算定期間の各月末日現在における従業者数のうち、最大の従業者数が最小の従業者数の2倍を超える事業所等です。
季節雇用や繁閑差の大きい業種で適用される規定です。
具体例:3月31日決算法人の事業所等
月末 従業者数
4月末 80人
5月末 90人
6月末 100人
7月末 200人(最大)
8月末 180人
9月末 110人
10〜2月末 各90人
3月末(期末) 90人(最小)

「著しい変動」の判定:最大200人 ÷ 最小90人 = 約2.22倍 > 2倍 → 該当

みなし従業者数の計算:(80+90+100+200+180+110+90×6)÷ 12 = 1,300 ÷ 12 ≒ 108.3人

→ 期末は90人だが、みなし従業者数は108人(小数点切捨て)として免税点判定 → 免税点超

共同事業・みなし共同事業の免税点判定

共同事業の場合

共同事業を行う場合、各共同事業者の免税点判定は、共同事業に係る事業所床面積・従業者数に損益分配の割合を乗じた面積・数で行います(割合が定められていない場合は出資額の割合)。

みなし共同事業の場合

共同事業とみなされた事業(特殊関係者と同一家屋で事業を行う場合など)については、各共同事業者の単独の事業として、特殊関係者を有する者の事業所床面積・従業者数に、特殊関係者の事業所床面積・従業者数を合算して免税点判定を行います。

みなし共同事業は、事業を分割して別法人で行うことで免税点をかいくぐることを防ぐための規定です。詳しくは別記事「事業所税のみなし共同事業を完全解説|兄弟会社などの特殊関係者の判定と免税点」をご覧ください。

免税点以下でも申告が必要なケース

免税点以下の場合、原則として事業所税の納付は必要ありませんが、免税点以下申告が必要となるケースがあります。以下の3つのいずれかに該当する場合は、免税点以下申告書の提出が必要です。

区分 申告が必要な条件
①前期に納税義務あり 前事業年度(個人は前年)に事業所税の納税義務を有していた場合
②床面積800㎡超 課税標準の算定期間末日現在で23区内の合計事業所床面積が800㎡を超える場合
③従業者数80人超 課税標準の算定期間末日現在で23区内の合計従業者数が80人を超える場合
免税点以下申告は納税は不要ですが、申告書の提出は必要です。詳しくは別記事「事業所税の免税点以下申告|税額ゼロでも申告が必要な場合を解説」をご覧ください。

免税点と申告要否のチェックフロー

まとめ

この記事のポイント
  • 事業所税の税額・税率:資産割は1㎡につき600円(定額)従業者割は給与総額の0.25%(割合)
  • 免税点:23区内の合計床面積1,000㎡超または合計従業者数100人超
  • 免税点判定は資産割・従業者割それぞれ独立して行う
  • 判定の基準日は算定期間末日の現況(月割計算なし)
  • 資産割の免税点判定における非課税:人的非課税・用途非課税の床面積は控除する。一方、課税標準の特例・減免は免税点判定では控除しない
  • パートタイマー判定:正規従業者の所定労働時間の4分の3未満が「相当短時間」→ 免税点判定では除外、給与総額には含める
  • 出向者の判定:①出向元のみ支払 → 出向元 ②出向先が経営指導料を支払(法人税法上給与扱い)→ 出向先 ③一部負担 → 主たる給与支払者
  • 役員の判定:原則本社の従業者。課税区域内外の事業所兼務時はそれぞれに含める。役員報酬は本社の給与総額、使用人兼務役員の使用人分は勤務地の給与総額
  • 高齢者等の判定タイミング:給与計算期間の末日の現況。65歳到達月以降の給与が控除対象
  • 従業者数に著しい変動(最大が最小の2倍超)がある場合は、月平均で算定(みなし従業者数)
  • 免税点以下でも申告が必要:①前期に納税義務あり ②床面積800㎡超 ③従業者数80人超
事業所税シリーズ 記事一覧
  1. 事業所税とは?仕組みと課税対象都市・納税の流れをわかりやすく解説
  2. 事業所税の納税義務者と課税対象を完全解説|貸ビル・共同事業の取扱いなど
  3. 事業所税の課税標準の計算方法を完全解説|資産割・従業者割の計算方法
  4. 【今ここ】事業所税の免税点判定と税額の算出方法
  5. 事業所税の非課税・課税標準の特例・減免を完全解説|申請手続きも紹介
  6. 事業所税のみなし共同事業を完全解説|兄弟会社などの特殊関係者の判定と免税点
  7. 事業所税の申告と納付を完全解説|申告期限・期限後申告・加算金・延滞金
  8. 事業所税の仕訳・会計処理・税務処理を完全解説|勘定科目・税務上の損金算入時期・税効果会計など

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