予定納税は、確定申告で確定する前の所得税を、前年の実績をもとにあらかじめ前払いさせる制度です。1年分の税額を翌年3月に一度に払うのは納税者にとって重く、国にとっても歳入が年1回に偏ります。そこで、前年並みの所得が続くという前提を置いて、年の途中に2回、税額の一部を先取りするのが予定納税です。あくまで概算の前払いであり、払いすぎは翌年の確定申告で精算され、還付されます。
問題は、この制度が「前年並みの所得が続く」という前提で動くことです。廃業・休業、業況の悪化、大きな設備投資による経費増などで今年の所得が前年を下回るなら、前年基準の前払いは資金繰りを圧迫します。これを是正する唯一の手段が減額申請であり、そこには1日でも過ぎると使えない厳格な期限があります。この記事では、所得税法104条から114条および国税庁の公表資料をもとに、予定納税の判定・計算・納付時期から、減額申請の要件と期限、令和7年改正で生じた実務上の注意点、落とし穴、想定Q&A、判断フローまで、深掘りして解説します。
- 予定納税は、予定納税基準額(原則、前年分の申告納税額)が15万円以上の方が対象
- 予定納税基準額の3分の1ずつを、第1期(7月)と第2期(11月)の2回に分けて納付する
- 対象者には、その年の6月15日までに税務署から予定納税額の通知が届く
- 今年の所得が減る見込みなら減額申請ができる。第1期・第2期分は7月15日、第2期分のみは11月15日が期限
- 払いすぎた予定納税額は、翌年の確定申告で精算され還付される。納めなければ延滞税がかかる
- 令和7年改正の基礎控除引上げ等は予定納税額の計算に反映されず、確定申告で精算される
- 制度趣旨:なぜ先に払わされるのか
- 誰が対象か:予定納税基準額15万円の判定
- いくらを、いつ納めるか
- 減額申請:前払いを減らす唯一の手段
- 令和7年改正で生じた重要な注意点
- 納めないとどうなるか:延滞税
- 判断フロー:通知が届いてからの動き方
- 実務上の落とし穴
- 想定Q&A集(実務)
- Q1. 予定納税は自分で計算して申告するのですか
- Q2. 通知が届きません。納めなくてよいのですか
- Q3. 開業初年度ですが予定納税はありますか
- Q4. 会社員ですが予定納税の通知が来ました。なぜですか
- Q5. 減額申請の期限は納期限の7月31日ではないのですか
- Q6. 減額申請は必ず認められますか
- Q7. 医療費や住宅ローン控除が増える見込みでも減額できますか
- Q8. 令和7年の基礎控除引上げで税金が下がるのに、通知額が減っていません
- Q9. 予定納税を納め忘れました。どうなりますか
- Q10. 払いすぎた予定納税は戻ってきますか
- Q11. 年の途中で廃業しました。第2期分も納めるのですか
- Q12. 予定納税額はどう計算されていますか
- まとめ
制度趣旨:なぜ先に払わされるのか
所得税は、その年の所得が確定してから翌年に申告・納付するのが原則です。しかし、1年分の税額をまとめて納付させると、納税者には一時の負担が集中し、国の歳入も申告期に偏ります。予定納税は、この負担感の緩和と歳入の平準化を目的として、前年の実績から算定した税額の一部を、年の中途であらかじめ納付させる仕組みです。
ここで理解しておくべきは、予定納税が「前年並みの所得が本年も続く」という擬制の上に成り立っている点です。前払いの額は本年の実際の所得ではなく、前年の申告納税額から機械的に算定されます。だからこそ、本年の所得が前年を明確に下回るなら、擬制を現実に近づけるための調整手段、すなわち減額申請が用意されているのです。予定納税の全体像は、この「擬制」と「調整」の関係で捉えると理解しやすくなります。
誰が対象か:予定納税基準額15万円の判定
予定納税が必要になるのは、その年の5月15日現在で確定している前年分の所得金額や税額をもとに計算した予定納税基準額が15万円以上となる方です。所得の種類や職業で決まるのではなく、あくまで前年の申告納税額の水準で判定されます。年収が一定額を超えれば必ず対象になる、というものではありません。
| 区分 | 予定納税基準額の考え方 |
|---|---|
| 原則 | その年5月15日現在で確定している 前年分の申告納税額が、そのまま予定納税基準額になる |
| 例外(除外所得等が ある場合) |
譲渡所得・一時所得・雑所得、退職所得等の分離課税、 平均課税を受けた臨時所得などを除外して計算し直す |
| 判定 | 上記の予定納税基準額が15万円以上なら、 予定納税が必要になる |
例外の趣旨は明快です。譲渡所得や一時所得のような臨時・偶発的な所得は、本年も同じように生じるとは限りません。これらを前年実績に含めたまま前払いを求めると、擬制が現実から大きく外れます。そこで、こうした除外所得を取り除いて予定納税基準額を計算し直すことで、経常的な所得に対応した前払い額に近づけているのです。
いくらを、いつ納めるか
3分の1ずつ、2回に分けて納付する
予定納税額は、原則として予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分と第2期分として2回納付します。残りの3分の1は、翌年の確定申告で精算します。つまり前年並みの所得なら、確定申告時にはおおむね3分の1だけを追加で納めれば済む計算です。
| 区分 | 納付額 | 納期 |
|---|---|---|
| 第1期分 | 予定納税基準額の3分の1 | その年7月1日から7月31日まで |
| 第2期分 | 予定納税基準額の3分の1 | その年11月1日から11月30日まで |
| 残り3分の1 | 確定税額から予定納税額を控除 | 翌年の確定申告で精算する |
納期限が土曜日・日曜日・国民の祝日・休日に当たる場合は、その翌日が納期限となります。第1期分の各金額は100円未満を切り捨てます。なお、特別農業所得者については、予定納税基準額の2分の1を第2期分として1回のみ納付する特例があります。
通知は6月15日までに届く
予定納税の対象になる方には、所轄税務署長から、その年の6月15日までに予定納税額が通知されます。通知は書面または電子申告(メッセージボックス)で行われます。自分で計算して申告する必要はなく、通知された金額を納期までに納付します。この点は、自ら計算して申告する確定申告とは性格が異なります。
納付方法は複数ある
納付は、振替納税、電子納税、クレジットカード納付、スマートフォンアプリ納付、コンビニ納付(QRコード等)、金融機関や税務署の窓口での現金納付などから選べます。振替納税を利用している場合は、指定口座から各納期限に自動で引き落とされます。残高不足で引き落とされないと延滞税の対象になるため、納期限前の残高確認が欠かせません。
減額申請:前払いを減らす唯一の手段
予定納税は前年実績に基づく擬制ですから、本年の所得がそれを下回る見込みなら、前払いを減らせなければ不合理です。その調整手段が減額申請です。本年の申告納税見積額が、税務署から通知された予定納税基準額に満たないと見込まれる場合に、予定納税額の減額を求めることができます。所得税法111条・112条に基づく手続です。
期限は厳格:第1期は7月15日、第2期のみは11月15日
減額申請には、1日でも過ぎると受け付けられない厳格な期限があります。第1期分および第2期分の減額を求める場合は、その年の7月1日から7月15日までに、第2期分のみの減額を求める場合は、その年の11月1日から11月15日までに申請書を提出します。
第2期分のみの減額 = その年11月15日まで
(納期限の7月31日・11月30日ではないことに注意)
最も誤りやすいのが、この期限を納期限と取り違えることです。第1期分の納期限は7月31日ですが、減額申請の期限は7月15日です。納期限の感覚で7月下旬に動くと、減額申請はすでに締め切られています。第1期の減額を逃した場合でも、11月15日までに第2期分のみの減額申請はできますが、第1期に払いすぎた分はいったん納めた上で、翌年の確定申告で精算するほかありません。
どんなときに減額できるか
国税庁は、次のような場合を減額申請ができる例として挙げています。いずれも「本年の申告納税見積額が予定納税基準額より少なくなる」という一点に集約されます。
| 類型 | 具体例 |
|---|---|
| 事業の状況の変化 | 廃業・休業・失業した。 業況不振で本年の所得が前年より明らかに少ない |
| 損失の発生 | 災害・盗難・横領により事業用資産や 住宅・家財に損害を受けた |
| 所得控除の増加 | 医療費控除・社会保険料控除・扶養控除・配偶者控除・ 寄附金控除などが前年より大きく増える見込み |
| 税額控除の増加 | 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)などを 新たに受ける |
| 上記以外 | その他の理由でも、本年の申告納税見積額が 予定納税基準額より少なくなると見込まれる場合 |
申請の方法と添付書類
申請は「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」を、納税地の所轄税務署長に提出して行います。電子申告のソフトで作成・送信するか、書面で提出します。申請書には、本年の申告納税見積額の計算の基礎となる事項を記載し、その見積りを裏づける資料を添付します。減額は税務署長の承認によって認められる手続であり、申請すれば必ず通るわけではありません。見積りが合理的であることを、客観的な資料で示せるかどうかが鍵になります。
減額申請の判断の基準日
第1期・第2期分の減額申請は、その年の7月15日の現況(その日までの実績と、その後の見込み)によって本年の申告納税見積額を計算します。第2期分のみの減額申請は、その年の10月31日の現況によって計算します。基準日が違えば見積りの前提も変わるため、11月に第2期分のみを申請する場合は、10月末までの実績を織り込んで見積りを立て直します。
令和7年改正で生じた重要な注意点
令和7年度税制改正で基礎控除の引上げや特定親族特別控除の創設が行われましたが、国税庁は、これらの改正を予定納税額の計算に反映していないことを明示しています。予定納税基準額は前年分の申告納税額をもとに算定されるため、本年から適用される控除の拡充は、予定納税の段階では織り込まれません。
所得税の基本的な仕組みや税額計算の流れは所得税とは?仕組み・計算方法・税率を初心者向けに解説で整理しています。
納めないとどうなるか:延滞税
予定納税は「あらかじめ納付しなければならない」税であり、確定申告で精算されるとはいえ、納期限までに納めなければ延滞税がかかります。予定納税額を納付しなかった場合や、振替納税の残高不足で引き落とされなかった場合は、それぞれの納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて延滞税が生じます。
| 区分 | 期間の考え方 | 延滞税の割合の目安 |
|---|---|---|
| 納期限の翌日から 2か月以内 |
比較的低い割合が適用される期間 | 年2.4% (令和7年の例) |
| 納期限の翌日から 2か月を超えた日以後 |
高い割合が適用される期間 | 年8.7% (令和7年の例) |
延滞税の割合は、延滞税特例基準割合に連動して各年で変わります。上表の割合は令和7年分の例であり、年によって変動します。いずれにしても、2か月を境に割合が大きく上がる構造は共通です。資金繰りが厳しくても、放置は最も高くつきます。納期限までに全額が難しい場合の対応は、次章の落とし穴で触れます。加算税や延滞税の全体像は加算税の種類と割合|過少申告・無申告・不納付で解説しています。
判断フロー:通知が届いてからの動き方
| 順序 | 確認事項 | 対応 |
|---|---|---|
| 1 | 6月に予定納税額の 通知が届いたか |
届いていれば予定納税の対象。 第1期分・第2期分の金額を確認する |
| 2 | 本年の所得は 前年並みか |
前年並み以上なら、通知どおり納付する。 下回る見込みなら次へ |
| 3 | 本年の申告納税見積額が 予定納税基準額を 下回るか |
下回る見込みなら減額申請を検討。 月次試算表など根拠資料を準備する |
| 4 | いつ気づいたか | 7月15日までなら第1期・第2期分を減額申請。 過ぎたら11月15日までに第2期分のみ申請 |
| 5 | 納付方法は 決まっているか |
振替納税なら納期限前に口座残高を確認。 それ以外は納期限までに納付手続 |
| 6 | 翌年の確定申告 | 納めた予定納税額を申告書に記入して精算。 納めすぎなら還付される |
実務上の落とし穴
減額申請の期限を納期限と取り違える
前払いだと知らず、二重に払ったと誤解する
予定納税は本年分の所得税の前払いであり、翌年の確定申告で必ず精算されます。確定申告書には予定納税額を記入する欄があり、そこで差し引かれます。記入を忘れると、前払い済みの税額を二重に納付してしまいます。確定申告のときは、その年に納めた予定納税額を必ず申告書に反映してください。
前年に一時的な高所得があり、本年は通常水準
前年に大きなスポット収入があって申告納税額が跳ね上がると、その額を基準に予定納税額が算定されます。本年が通常水準に戻る見込みなら、前払いは過大です。除外所得の調整で基準額が下がる場合もありますが、それでも本年見積りが下回るなら、減額申請で是正できます。前年が特殊だった年ほど、通知額を鵜呑みにしないことが重要です。
見込みが甘く、減額しすぎる
減額申請は本年の所得の見積りに基づきます。過度に低く見積もって減額し、その後所得が回復すると、当初の予定納税額との差額について延滞税が生じることがあります。減額は「確実に下がる範囲」でとどめ、根拠資料で説明できる水準に設定するのが安全です。楽観的な見積りは、かえって負担を増やします。
振替納税の残高不足を見落とす
振替納税は自動引き落としで手間がかからない反面、口座残高が不足していると引き落とされず、延滞税の対象になります。通知が来る確定申告と違い、予定納税の引き落としは失念しやすいものです。7月と11月の納期限前に、口座残高を必ず確認してください。
前払い分を運転資金に使い込む
予定納税は7月と11月に資金が出ていく前提の制度です。この2回の支出を資金繰り計画に織り込んでいないと、納期に手元資金が足りなくなります。前払いは義務であり、確定申告まで待てるものではありません。年間のキャッシュフローに、7月・11月の予定納税をあらかじめ組み込んでおくことが必要です。
想定Q&A集(実務)
Q1. 予定納税は自分で計算して申告するのですか
いいえ、税務署が計算して通知します。予定納税額は所轄税務署長がその年の6月15日までに書面または電子申告で通知するためです。通知された金額を納期までに納めれば足ります。反対に、確定申告は自ら所得と税額を計算して申告する手続であり、この点で予定納税とは性格が異なります。
Q2. 通知が届きません。納めなくてよいのですか
通知が届かないなら、その年は予定納税の対象ではないと考えて差し支えありません。予定納税基準額が15万円以上の方にのみ通知が行われるためです。反対に、前年に高い所得があったのに通知が見当たらない場合は、電子申告のメッセージボックスに格納されていることがあります。書面が届かない設定になっていないか、確認してみてください。
Q3. 開業初年度ですが予定納税はありますか
原則ありません。予定納税基準額は前年分の申告納税額をもとに算定されるため、前年に事業所得等がなければ基準額が生じないからです。反対に、開業した年の所得が大きければ、翌年から予定納税の対象になり得ます。開業2年目以降は、7月・11月の資金流出を見込んでおく必要があります。
Q4. 会社員ですが予定納税の通知が来ました。なぜですか
給与以外の所得があり、前年の申告納税額が15万円以上になったためと考えられます。副業の事業所得や不動産所得、大きな一時所得などがあると、源泉徴収だけでは精算しきれず予定納税の対象になり得るからです。反対に、その所得が本年は生じない見込みなら、減額申請の対象になります。給与所得者でも、確定申告をした結果として予定納税が生じる点は押さえておいてください。
Q5. 減額申請の期限は納期限の7月31日ではないのですか
違います。第1期・第2期分の減額申請の期限は7月15日です。納期限(7月31日)と減額申請の期限(7月15日)は別に定められているためです。反対に、7月15日を過ぎても、11月15日までなら第2期分のみの減額申請ができます。第1期に払いすぎた分は、翌年の確定申告で精算されます。
Q6. 減額申請は必ず認められますか
必ずではありません。減額は税務署長の承認による手続であり、本年の申告納税見積額が予定納税基準額を下回ることを合理的に説明できる場合に認められるためです。反対に、根拠の乏しい楽観的な見積りは認められないことがあります。月次試算表、受注状況、廃業や休業の事実を示す資料など、客観的な裏づけを添えることが重要です。
Q7. 医療費や住宅ローン控除が増える見込みでも減額できますか
できます。所得控除や税額控除の増加により本年の申告納税見積額が予定納税基準額を下回るなら、減額申請の理由になるためです。医療費控除・寄附金控除・扶養控除・配偶者控除の増加や、住宅借入金等特別控除を新たに受ける場合が典型例です。反対に、控除の増加を見込んでも見積額が基準額を下回らないなら、減額の対象にはなりません。控除の増加額と税額への影響を試算した上で判断してください。
Q8. 令和7年の基礎控除引上げで税金が下がるのに、通知額が減っていません
予定納税額の計算に基礎控除の引上げ等が反映されていないためです。国税庁は、令和7年度改正の基礎控除の引上げや特定親族特別控除を予定納税額の計算に織り込まず、確定申告で精算すると明示しています。反対に、この控除拡充によって本年の申告納税見積額が予定納税基準額を下回ると見込まれるなら、それ自体が減額申請の理由になります。改正の恩恵を前払いの段階で受けたい場合は、減額申請を検討してください。
Q9. 予定納税を納め忘れました。どうなりますか
納期限の翌日から延滞税がかかります。予定納税は納期限までに納付すべき税であり、遅れた日数に応じて延滞税が生じるためです。延滞税は納期限の翌日から2か月を境に割合が上がる構造のため、気づいたら一日でも早く納付するのが有利です。反対に、資金繰りが厳しく全額が難しい場合でも、放置は最も高くつきます。納付が困難な事情があるなら、早めに所轄税務署に相談してください。
Q10. 払いすぎた予定納税は戻ってきますか
戻ってきます。予定納税は前払いであり、翌年の確定申告で確定税額から予定納税額を差し引いて精算するためです。予定納税額が確定税額を上回っていれば、その差額が還付されます。反対に、確定申告書に予定納税額を記入し忘れると精算されず、二重に納付する結果になります。申告時に必ず反映してください。
Q11. 年の途中で廃業しました。第2期分も納めるのですか
減額申請をすれば、第2期分を減額または不要にできる場合があります。廃業により本年の申告納税見積額が予定納税基準額を下回るなら、減額申請の対象になるためです。第2期分のみの減額申請は11月15日までにできます。反対に、何も申請しなければ通知どおりの第2期分が納期限に発生します。廃業したら、11月15日の期限内に減額申請を出してください。
Q12. 予定納税額はどう計算されていますか
原則として、前年分の申告納税額(予定納税基準額)の3分の1が第1期分、もう3分の1が第2期分です。予定納税は前年並みの所得を擬制して税額の一部を前払いさせる制度であり、残りの3分の1を確定申告で精算する設計だからです。反対に、前年に譲渡所得などの除外所得があった場合は、それらを取り除いて基準額を計算し直します。通知書には第1期分・第2期分の金額が記載されているので、計算の詳細は通知書で確認できます。
まとめ
予定納税は、前年並みの所得が続くという擬制のもとで、本年分の所得税の一部を前払いさせる制度です。予定納税基準額が15万円以上なら対象となり、その3分の1ずつを7月と11月に納付します。払いすぎは翌年の確定申告で精算・還付され、納め忘れれば延滞税がかかります。
実務の要は減額申請です。本年の所得が前年を下回る見込みなら、擬制を現実に近づけるために減額申請ができます。ただし第1期・第2期分は7月15日、第2期分のみは11月15日という厳格な期限があり、納期限とは別物です。廃業・休業・業況不振・控除の増加といった事情に心当たりがあるなら、通知が届いた時点で減額申請の要否を判断し、根拠資料をそろえて期限内に動くこと。これが、前払いによる資金繰りの圧迫を避ける唯一の方法です。
- 予定納税基準額(原則、前年分の申告納税額)が15万円以上なら予定納税の対象
- 基準額の3分の1ずつを第1期(7月)・第2期(11月)に納付し、残りは確定申告で精算
- 対象者には6月15日までに税務署から通知が届く。自分で計算する必要はない
- 減額申請の期限は第1期・第2期分が7月15日、第2期分のみが11月15日。納期限とは別
- 減額は承認手続。根拠資料を伴う合理的な見積りが必要で、減額しすぎると延滞税のリスク
- 令和7年改正の基礎控除引上げ等は予定納税額の計算に未反映。確定申告で精算される
※本記事は作成時点の法令および公表資料(所得税法104条から114条、復興財源確保法16条、租税特別措置法8条の4、租税特別措置法施行令4条の2、国税通則法10条・112条、国税通則法施行令2条、国税庁タックスアンサー No.2040「予定納税」、国税庁「A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」等)に基づく一般的な解説です。延滞税の割合など一部の数値は年により変動します。個別の事案によって取扱いは異なる場合があるため、具体的な判断は最新の法令の確認、顧問税理士への相談や所轄税務署への確認をおすすめします。

