法定調書合計表と提出実務【完全ガイド⑤】合計表の書き方・突合・訂正追加・チェックリスト

法定調書

【法定調書 完全ガイド・全5回】 ① 総論編/② 給与所得の源泉徴収票編/③ 報酬・料金の支払調書編/④ 退職所得・不動産関係編/⑤ 合計表・提出実務編(本記事・最終回)

各調書を作り終えたら、最後に法定調書合計表で全体を集約し、提出します。合計表は各調書の人員・金額を集計する書類ですが、提出不要の調書分も含めて集計する点や、調書との突合を誤ると指摘を受けます。本記事(最終回)では、合計表の書き方・提出方法・訂正・チェックリストを解説します。

目次
  1. 法定調書合計表とは
  2. 提出不要でも全体を集計する
  3. 合計表の各欄と各調書の突合
  4. 給与支払報告書とeLTAX
  5. マイナンバーの管理
  6. 訂正・追加の方法
  7. 消費税の判定
  8. 提出前チェックリスト
  9. シリーズのまとめ

1. 法定調書合計表とは

法定調書合計表(正式名称「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」)は、6種類の法定調書の人員・支払金額・源泉徴収税額を1枚に集約して税務署に提出する表紙の役割を果たす書類です。各調書と合計表をセットで、翌年1月31日(令和7年分は令和8年2月2日)までに提出します。

合計表には、給与所得の源泉徴収票・退職所得の源泉徴収票・報酬料金の支払調書・不動産の使用料等・譲受けの対価・あっせん手数料の各区分ごとに、人員・支払金額・源泉徴収税額の合計を記載する欄があります。各調書を集計した数字をここに転記します。

2. 提出不要でも全体を集計する

合計表は「提出する調書」ではなく「支払った全体」

最も誤りやすい点です。個々の支払調書・源泉徴収票の提出が不要(基準額以下)でも、合計表には全体を集計します。例えば給与所得の欄には、税務署提出が500万円超の数人だけでも、その年に給与を支払った全受給者の人員・支払金額・源泉徴収税額を記載します。報酬の欄も、支払調書を出す人が0人でも、報酬を支払っていれば全体の人員・金額・税額を記載します。

合計表の各区分には、「左側に提出する調書の枚数・金額」「右側に支払総額(全体)」のように、提出分と全体を分けて記載する欄があります。提出する調書がなくても全体の支払があれば、合計表の総額欄は埋まります。「提出する調書がないから合計表は該当なし(空欄)」は誤りです。
記入サンプル:合計表の集計

設例:従業員10人(給与総額5,000万円・源泉徴収税額200万円。うち年末調整済で支払金額500万円超が2人、その支払金額計1,200万円)、税理士1人に年36万円(源泉税36,756円)、個人オーナーに事務所家賃240万円。

区分 人員/件 支払金額 源泉徴収税額
給与(A)総額 10人 50,000,000 2,000,000
給与(B)うち提出分 2人 12,000,000 (該当分)
報酬(A)総額 1人 360,000 36,756
報酬(B)うち提出分 1人 360,000 36,756
不動産使用料(A)総額 1件 2,400,000
不動産使用料(B)うち提出分 1件 2,400,000

給与は(A)に全10人を集計し、(B)に税務署提出する2人分を内訳記載します。報酬・不動産は提出基準を満たすため(A)(B)が一致します。提出する源泉徴収票・支払調書の枚数(2+1=3枚)が、合計表の提出枚数欄と一致するかを確認します。

3. 合計表の各欄と各調書の突合

突合のポイント
  • 源泉徴収票合計表欄:全受給者の人員・支払金額・源泉徴収税額(年末調整の年税額の合計と整合)。うち税務署提出分の人員・金額を内訳で記載
  • 報酬料金欄:全支払先の人員・支払金額・源泉徴収税額。提出する支払調書の枚数・金額と整合
  • 各支払調書の枚数合計=合計表の提出枚数が一致するか確認
  • 源泉徴収税額の年間合計が、毎月(または納期特例で年2回)納付した源泉所得税の合計と整合するか
合計表の源泉徴収税額は、その年に納付書(徴収高計算書)で納めた源泉所得税の年間合計と一致するのが原則です。一致しない場合、源泉徴収もれ・納付もれ・年末調整の精算もれなどが疑われます。提出前に、給与・報酬の源泉徴収税額の合計と、納付額の合計を照合します。これが税務署の最初のチェックポイントになります。
突合の数値例(給与の源泉徴収税額)
  • 毎月の納付額(1〜12月の給与分源泉税)の合計=A
  • 年末調整による超過税額(還付)=B、不足税額(追徴)=C
  • 源泉徴収簿の年税額合計=A - B + C となるはず
  • 合計表の「給与所得の源泉徴収票合計表」の源泉徴収税額=この年税額合計と一致するか確認

例:給与分の毎月納付合計が600万円、年末調整還付が50万円なら、納付ベースでは差引550万円。合計表の源泉徴収税額(年調後の年税額合計)もこれと整合するはずです。ズレたら、源泉徴収もれや年末調整の反映もれを点検します。

4. 給与支払報告書とeLTAX

  • 給与支払報告書(住民税用):令和8年1月1日現在の在籍者全員分を各人の住所地市区町村へ。中途退職者は退職時住所地へ(支払額30万円以下は提出省略可)
  • 総括表:各市区町村ごとに、給与支払報告書をまとめる表紙(人員等を記載)を添付
  • eLTAX:給与支払報告書(市区町村)と源泉徴収票のe-Tax用データを同時作成し、それぞれ提出できる一元化機能
給与支払報告書は従業員の住所地ごとに提出先の市区町村が分かれるため、書面だと自治体別の仕分けが大きな手間になります。eLTAXの一元化機能を使えば、1回の操作で全市区町村への給与支払報告書と税務署への源泉徴収票を作成・提出でき、仕分けが不要になります。電子提出義務(令和9年提出分から30枚以上)に該当する場合は、この方法が前提になります。

5. マイナンバーの管理

  • 税務署提出用・市区町村提出用にはマイナンバーを記載(受給者・扶養親族・支払者)
  • 本人交付用の源泉徴収票・支払先交付用の支払調書にはマイナンバーを記載しない(全調書共通)
  • 給与支払報告書には、源泉徴収票と異なり16歳未満の扶養親族のマイナンバーも記載
  • マイナンバーは特定個人情報。取得・保管・廃棄の安全管理措置を講じる
提出用と交付用でマイナンバーの記載有無が逆になるため、給与計算ソフトの出力設定(提出用/交付用)を必ず確認します。支払調書を支払先に参考交付する場合も、マイナンバーは空欄(マスキング)にします。番号の管理ミスは情報漏えいにつながるため、アクセス権限と保管方法を限定します。

6. 訂正・追加の方法

  • 訂正:提出済みの調書に誤りがあった場合、「無効」分(元の内容)と「訂正」分(正しい内容)の2枚を作成し、合計表も訂正分を作って提出
  • 追加:提出漏れの調書を後から出す場合、追加分の調書と合計表を作成して提出
  • 未払で源泉税を見積記載した報酬等が、後で実額と異なった場合も訂正
訂正の際は、合計表の摘要等に「訂正」である旨を記載し、元の提出分との関係が分かるようにします。未払報酬を見積りで支払調書に記載し、後日実際の徴収税額が異なった場合は、パート3で触れたとおり訂正を行います。提出後に誤りに気づいたら、早めに訂正・追加を提出します。
訂正の具体的な手順(書面の場合)
  1. 無効分:誤って提出した調書と同じ内容で作成し、上部余白等に「無効」と表示
  2. 訂正分:正しい内容で作成し、上部余白等に「訂正分」と表示
  3. 訂正の合計表:訂正分の枚数・金額を記載した合計表を作成し、「訂正分」と表示して①②を添付
  4. 当初提出分の枚数・金額は、訂正合計表側で調整(無効分でマイナス、訂正分でプラス)

例:支払金額を50万円と誤記し正しくは55万円だった場合 → 50万円の調書を「無効」、55万円の調書を「訂正分」として、訂正合計表とともに再提出します。e-Tax・eLTAXの場合は、訂正用の手続(再送信)に従います。

7. 消費税の判定

報酬・料金や不動産使用料の提出範囲の金額基準・支払金額欄は、原則として消費税込で判定・記載します。ただし、請求書等で報酬と消費税が明確に区分されていれば、税抜で判定して差し支えありません(区分の有無で5万円・15万円などの基準の結論が変わる)。合計表の集計も、各調書の記載額(原則税込、区分時は税抜)を積み上げます。社内で税込・税抜の判定基準を統一しておくと、調書間の不整合を防げます。

8. 提出前チェックリスト

  • 給与所得の源泉徴収票:提出範囲5区分で判定したか。全員に交付したか(外国人含む)
  • 特定親族特別控除:額と区分コードを正しく記載したか
  • 報酬:種類別の基準(5万・50万・75万)で判定。法人・未源泉も含めたか
  • 司法書士等:1万円控除で計算。立替の登録免許税等を除いたか
  • 退職所得:役員分のみ提出。死亡退職は相続税法の支払調書にしたか
  • 不動産使用料:法人へは権利金等のみ・個人へは家賃含め15万円超か
  • 未払:支払金額・源泉税を内書き(報酬は見積記載)したか
  • 合計表:提出不要分も含め全体を集計したか。調書枚数・金額が一致するか
  • 源泉徴収税額の年間合計と納付額が一致するか
  • マイナンバー:提出用に記載・交付用は記載なし。給与支払報告書は16歳未満も記載
  • 電子提出義務(種類ごと30枚以上・令和9年提出分〜)に該当しないか

9. シリーズのまとめ

法定調書 完全ガイド(全5回)の要点
  • ①総論:提出義務者・6種類・翌年1月31日・提出方法・電子提出義務(令和9年提出分から30枚)
  • ②源泉徴収票:提出範囲5区分・全記載欄・特定親族特別控除の区分コード
  • ③報酬料金:種類別基準・士業別計算と1万円控除・立替実費・未払見積
  • ④退職・不動産:退職は役員のみ・死亡退職は相続税法・不動産は法人へ権利金等のみ
  • ⑤合計表・実務:提出不要分も全体集計・突合・訂正追加・チェックリスト
法定調書は、年末調整・源泉徴収票の交付・納期特例の納付と一連で1月に集中します。本シリーズの区分判定・記載要領・チェックリストに沿えば、各調書から合計表まで一貫して作成・提出できます。判断に迷うケースや改正の適用時期は、国税庁の最新情報で確認してください。
このシリーズの記事
  • ① 法定調書の作成と提出【総論編】
  • ② 給与所得の源泉徴収票の書き方【全記載欄】
  • ③ 報酬・料金の支払調書の書き方
  • ④ 退職所得・不動産関係の支払調書
  • ⑤ 法定調書合計表と提出実務(本記事)

※本記事は作成時点(令和7年分)の法令・国税庁の取扱いに基づく一般的な解説です。様式・記載要領・電子提出の基準は改正される場合があります。具体的な判断は国税庁の最新情報の確認および税理士へのご相談をおすすめします。

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