事業所税と固定資産税の違い|課税対象・税率・申告方法を比較して解説

地方税

事業所税と固定資産税は、どちらも建物に関係する地方税で名前も紛らわしいため、経理担当者や事業者の方が混同しがちです。しかし、両者は課税の性格・納める人・課税標準・申告方法のすべてが異なる、まったく別の税です。本記事では、事業所税と固定資産税(償却資産税を含む)の違いを、比較しながら整理します。

※本記事は東京都(23区内)を前提とした一般的な解説です。事業所税の詳細は「事業所税とは?」の記事をご覧ください。

まず結論:両者はまったく別の税

事業所税は都市環境の整備に充てる目的税で、事業活動の規模(床面積・従業者給与)に着目して課税します。一方、固定資産税は資産の保有に着目した財産税で、資産の価値(評価額)に応じて所有者に課税します。名前は似ていますが、課税の根拠も仕組みも別物です。

  • 事業所税:事業活動の規模に応じて課す目的税(都市環境整備のため)
  • 固定資産税:資産の価値に応じて所有者に課す財産税

事業所税と固定資産税の比較

項目 事業所税 固定資産税
税の性格 目的税 財産税(普通税)
課税団体 指定都市等(全国77団体)。東京23区は都 原則すべての市町村。東京23区は都
納める人 事業を行う者(借主も対象) 資産の所有者
課税対象 事業所等で行う事業(床面積・従業者給与) 土地・家屋・償却資産の保有
課税標準 事業所床面積/従業者給与総額 固定資産の評価額
税率・税額 資産割1㎡600円/従業者割0.25% 標準税率1.4%
申告方式 申告納税(自分で計算して申告) 賦課課税(市町村が計算・通知)※償却資産は申告
基準日・期間 事業年度(算定期間) 毎年1月1日(賦課期日)
免税点 床面積1,000㎡/従業者100人 土地30万円/家屋20万円/償却資産150万円(課税標準額)

主な違いの解説

① 納めるのは「事業を行う者」か「所有者」か

最も実務的に重要な違いです。事業所税は、その事業所等で事業を行う者が納税義務者で、建物を借りているテナントも対象になります。一方、固定資産税は、その資産の所有者が納税義務者です。

同じ貸ビルでも、固定資産税はビルの所有者(オーナー)が、事業所税は入居して事業を行うテナントが、それぞれ納める、という関係になります。借主は固定資産税を直接は納めませんが、事業所税は納める可能性がある、という点が混同しやすいポイントです。

② 課税標準が「床面積・給与」か「評価額」か

事業所税は、事業所用家屋の床面積(資産割)と従業者給与総額(従業者割)が課税標準です。建物の価値ではなく、規模(広さ・人数)に着目します。一方、固定資産税は、資産の評価額が課税標準で、資産の価値に着目します。

同じ家屋でも、事業所税は「何㎡か」で、固定資産税は「いくらの価値か」で課税額が決まります。築年数が古く評価額が下がった建物でも、床面積が大きければ事業所税は相応にかかる、という違いが生じます。

③ 「申告納税」か「賦課課税」か

ここも大きな違いです。事業所税は申告納税方式で、納税者が自分で課税標準・税額を計算し、申告・納付します。一方、固定資産税(土地・家屋)は賦課課税方式で、市町村が評価額を計算し、納税通知書を送ってきます。納税者が自分で計算する必要はありません。

この違いから、固定資産税は通知を待てばよいのに対し、事業所税は申告を忘れると無申告になり、加算金の対象になります。事業所税は「自分で申告する税」だと認識しておくことが重要です。

「償却資産税」との関係

固定資産税は、土地・家屋だけでなく償却資産(事業用の機械・器具・備品等)にもかかります。これが通称償却資産税で、固定資産税の一部です。償却資産税は、固定資産税の中でも例外的に申告が必要(毎年1月31日までに申告)で、この点は事業所税と似ています。

3つの税の関係を整理
対象 申告
事業所税 事業所の床面積・従業者給与 必要
固定資産税(土地・家屋) 土地・家屋の評価額 不要(通知が届く)
固定資産税(償却資産) 事業用の機械・備品等の評価額 必要(1月31日まで)
なお、20万円未満の一括償却資産は償却資産税の対象外、30万円未満の中小企業特例の適用資産は償却資産税の対象になります。少額資産の扱いは「少額減価償却資産の否認事例」の記事もご参照ください。

なぜ混同しやすいのか

両税が混同されやすいのは、どちらも建物(家屋)に関係し、名前に「資産」「事業所」と似た語が含まれるためです。しかし、整理すると次のように覚えられます。

  • 持っているとかかるのが固定資産税(所有者・評価額・通知が届く)
  • 使って事業をするとかかるのが事業所税(事業者・床面積/給与・自分で申告)
  • 事業所税は大都市の大規模事業者だけ(免税点あり・全国77団体限定)

まとめ

この記事のポイント
  • 事業所税は目的税(事業規模に課税)、固定資産税は財産税(資産価値に課税)
  • 納めるのは、事業所税は事業を行う者(借主も)、固定資産税は所有者
  • 課税標準は、事業所税は床面積・給与、固定資産税は評価額
  • 事業所税は申告納税(申告必須)、固定資産税は賦課課税(通知が届く)。ただし償却資産は申告必要
  • 「持っているとかかる固定資産税/使って事業するとかかる事業所税」と整理すると分かりやすい
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※本記事は作成時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。税率・免税点等は改正されることがあり、自治体により異なる場合もあります。具体的な判断は、所在地の自治体への確認、または税理士へのご相談をおすすめします。

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