病院・クリニックは、事業所税では非課税として扱われる部分が大きい業種です。医療法上の病院・診療所は、資産割・従業者割のいずれも非課税(用途非課税)とされています。ただし、同じ建物内の売店やテナント、職員寮などは課税対象になることがあり、医療部分と非医療部分の区分が論点になります。本記事では、病院・クリニックの事業所税の非課税範囲と、課税される部分を整理します。
病院・診療所は資産割・従業者割とも非課税
地方税法701条の34により、医療法に規定する病院・診療所、一定の介護老人保健施設・介護医療院、および医療関係者の養成所に係る事業については、事業所税が非課税(用途非課税)とされています。これは資産割(床面積)・従業者割(給与)の両方が非課税になる、強力な措置です。
- 医療法上の病院(20床以上)
- 医療法上の診療所(クリニック。無床・19床以下)
- 一定の介護老人保健施設・介護医療院
- 看護師・准看護師・歯科衛生士など医療関係者の養成所
課税される可能性がある部分(区分が必要)
非課税は「病院・診療所として使う部分」に及びます。同じ建物内でも、医療と直接関係のない部分は課税対象になり得るため、区分が必要です。
| 部分 | 事業所税の扱い(一般的な考え方) |
|---|---|
| 診察室・病室・手術室・検査室・薬局(院内)・受付等 | 医療施設として非課税 |
| 院内の売店・コンビニ・レストラン・テナント | 医療以外の事業として課税対象になり得る(テナントはその事業者が納税義務者) |
| 職員寮・保養所など | 福利厚生施設の非課税要件を満たすかで判断(業務用は課税) |
区分できない場合の取扱い
非課税の事業と課税の事業を同一の事業所等で併せて行う場合で、床面積や従業者給与総額を区分できないときは、法人税法施行令の区分経理の方法等に基づいて、非課税部分を合理的に算定します。実務では、医療部分と非医療部分を床面積按分などで区分するのが基本です。
免税点判定との関係
非課税部分は、免税点判定でも控除できます(課税標準の特例とは異なり、非課税は免税点判定で除外できる点がポイント)。したがって、医療部分が大半を占めるクリニックなどでは、非課税部分を除いた課税対象部分が免税点(床面積1,000㎡・従業者100人)以下となり、申告自体が不要になるケースも多くあります。
そのほかの論点(駐車場・健診・介護)
- 駐車場:来院者・患者用の駐車場の扱いは、駐車場の課税・非課税の一般ルールで判断(家屋性・路外駐車場の非課税要件など)
- 健診・人間ドック:医療法上の病院・診療所が行う健診部分も、施設としては医療施設の非課税の範囲に含まれるのが一般的(消費税では課税売上になるが、事業所税の非課税とは別の話)
- 介護施設:介護老人保健施設・介護医療院は一定要件で非課税。一方、その他の介護サービス事業所は別途判断が必要
まとめ
- 医療法上の病院・診療所は資産割・従業者割とも非課税(用途非課税、701条の34)
- 非課税は開設主体を問わない(医療法人・個人開業医とも対象)
- 院内の売店・テナント・職員寮など非医療部分は課税対象になり得る(区分が必要)
- 区分できない場合は区分経理等で合理的に算定
- 非課税部分は免税点判定でも控除できるため、クリニック等は申告不要のことも多い
- 消費税の課税・非課税とは判断軸が別(混同に注意)
- 事業所税の非課税・課税標準の特例・減免を完全解説
- 事業所税の免税点判定を徹底解説
- ホテル・旅館の事業所税|旅館業の特例(資産割1/2控除)と対象施設
※本記事は作成時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。非課税の範囲・区分や介護施設の取扱いは、施設の状況や課税団体により異なる場合があります。具体的な判断は、所在地の課税団体への確認、または税理士へのご相談をおすすめします。

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