事業所税のQA30選|在宅勤務・パート・役員・出向者の取扱いなどを解説

地方税

事業所税は、納税義務者の判定・床面積の取扱い・従業者の数え方・申告手続きなど、実務で迷いやすい論点が多い税目です。本記事では、事業所税についてのQA30問をカテゴリ別に整理していますので、知りたい論点から確認してください。

※本記事は東京都(23区内)を前提に解説しています。他の課税団体(政令指定都市等)でも基本的な仕組みは同じですが、床面積の細かい判定・非課税や減免の運用・申告の基準などは団体ごとに異なる場合があります。具体的な取扱いは、事業所が所在する自治体の最新の公表資料でご確認ください。

  1. 目次(カテゴリ別)
  2. 1. 事業所税の基本
    1. Q1:そもそも事業所税とは?どこで課税される税ですか?
    2. Q2:自社は事業所税の課税対象でしょうか?
    3. Q3:事業所税はいつから課税される税ですか?
    4. Q4:他の都市にも事業所等がある場合、まとめて申告すればよいですか?
  3. 2. 納税義務者・課税対象
    1. Q5:賃借ビルで事業を行っていますが、事業所税は誰が払うのですか?
    2. Q6:貸ビル内の駐車場の納税義務者は誰になりますか?
    3. Q7:自宅で事業を行っている個人事業主も対象ですか?
    4. Q8:事業所用家屋の貸付等申告とは何ですか?
  4. 3. 床面積(資産割)の論点
    1. Q9:階段やエレベーター等の共用部分も床面積に含まれますか?
    2. Q10:登記面積と現況面積が違う場合はどちらで申告すべきですか?
    3. Q11:地下倉庫やベランダ・ロフトも床面積に含まれますか?
    4. Q12:保養所・社員食堂・休憩室も床面積に含まれますか?
    5. Q13:機械室・電気室・物置はどう扱いますか?
  5. 4. 従業者(従業者割)の論点
    1. Q14:アルバイトやパートタイマーは従業者数に含めるのですか?
    2. Q15:役員も従業者に含まれますか?無給役員はどうですか?
    3. Q16:出向者は出向元と出向先のどちらでカウントしますか?
    4. Q17:在宅勤務者・テレワーク勤務者はどう扱いますか?
    5. Q18:派遣労働者は派遣元・派遣先のどちらでカウントしますか?
    6. Q19:高齢者・障害者の特例とは何ですか?
    7. Q20:従業者数に著しい変動があった場合の取扱いは?
  6. 5. 免税点・申告
    1. Q21:免税点以下の場合でも申告は必要ですか?
    2. Q22:期中に事業所を新設・廃止した場合の免税点判定は?
    3. Q23:申告期限の延長制度はありますか?
    4. Q24:申告書を間違えて提出した場合の修正方法は?
    5. Q25:申告書はどこに提出すればよいですか?
  7. 6. 非課税・特例・減免
    1. Q26:当社の事業所等に非課税が適用される可能性はありますか?
    2. Q27:課税標準の特例と減免はどう違うのですか?
    3. Q28:減免申請の期限はいつまでですか?
  8. 7. 会計処理・損金算入
    1. Q29:事業所税の仕訳・会計処理はどうすればよいですか?
    2. Q30:事業所税は損金算入できますか?
  9. まとめ

目次(カテゴリ別)

  1. 事業所税の基本(Q1〜Q4)
  2. 納税義務者・課税対象(Q5〜Q8)
  3. 床面積(資産割)の論点(Q9〜Q13)
  4. 従業者(従業者割)の論点(Q14〜Q20)
  5. 免税点・申告(Q21〜Q25)
  6. 非課税・特例・減免(Q26〜Q28)
  7. 会計処理・損金算入(Q29〜Q30)

1. 事業所税の基本

Q1:そもそも事業所税とは?どこで課税される税ですか?

事業所税は、人口30万人以上の大都市等が、道路・ごみ処理・上下水道・公害防止など都市環境の整備事業に要する費用に充てるための目的税です。事業所等の床面積を課税標準とする「資産割」と、従業者の給与総額を課税標準とする「従業者割」の2つで構成されています。

事業所税は全国77団体(令和8年4月1日現在)のみで課税される税で、主な課税団体は以下のとおりです。

事業所税の主な課税団体
  • 東京都(特別区=23区)
  • 政令指定都市20市(札幌・仙台・横浜・名古屋・京都・大阪・福岡など)
  • その他人口30万以上の指定市等

Q2:自社は事業所税の課税対象でしょうか?

自社が事業所税の課税対象となるかは、以下の2つの条件で判定します。

判定項目 課税となる基準
資産割 課税団体内の合計事業所床面積が1,000㎡超
従業者割 課税団体内の合計従業者数が100人超
資産割と従業者割はそれぞれ独立して判定します。床面積は超えていても従業者数が100人以下なら資産割のみ、というケースもあります。また、課税床面積が800㎡超または従業者数80人超の場合は、免税点以下であっても申告書の提出が必要です。

Q3:事業所税はいつから課税される税ですか?

事業所税は昭和50年に創設された比較的新しい地方税です。当時、人口集中の進む大都市の財政事情に対応するため、都市の集積による行政サービスから受益を受ける事業活動に課税する目的で創設されました。

各課税団体での課税開始時期は、団体が事業所税の課税要件(人口30万以上等)を満たした時期に応じて異なります。例えば、東京都23区は昭和51年から、比較的新しく追加された一宮市は平成22年10月から課税開始など、団体ごとに開始時期が異なります。自社の所在地での課税開始時期は、所在地の自治体の公表資料で確認できます。

Q4:他の都市にも事業所等がある場合、まとめて申告すればよいですか?

いいえ、課税団体ごとに別々に申告します。例えば、本社が東京23区内、支店が横浜市にある場合、東京都と横浜市にそれぞれ別個に申告納付が必要です。

免税点判定も団体ごと:複数の課税団体にまたがる場合でも、免税点判定は団体内の事業所等で行います。東京23区800㎡+横浜市800㎡=1,600㎡で合算判定するのではなく、東京都・横浜市それぞれ独立して判定します(どちらも800㎡なので、両方とも免税点以下となる可能性)。

2. 納税義務者・課税対象

Q5:賃借ビルで事業を行っていますが、事業所税は誰が払うのですか?

事業所税は、その場所で実際に事業を行っている法人または個人(テナント)が納税義務者となります。建物の所有者(オーナー)ではありません。

転貸の場合も同様で、実際にそこで事業を行っている事業者が納税義務者です。ただし、貸ビルの管理人室・管理用品倉庫等、管理のための施設については、貸ビル業者に係る施設として貸ビル所有者が納税義務者となります。

Q6:貸ビル内の駐車場の納税義務者は誰になりますか?

貸ビル内の駐車場についても、そこで事業を行う法人または個人に納税義務があります。

具体的には、以下のように判定します。

状況 納税義務者
貸ビル業者が自動車の管理・保管を業として行う 貸ビル業者
テナントが車両保管のため専用スペースを借りているにすぎない 納税義務者なし(テナントは事業を営んでいるとは言えないため)
駐車場の課税・非課税や床面積の扱いは判断が分かれやすい論点です。詳しくは「事業所税と駐車場|課税対象になる駐車場と納税義務者を解説」の記事をご覧ください。

Q7:自宅で事業を行っている個人事業主も対象ですか?

個人事業主が自宅の一部を事業所として使用している場合、事業の用に供している部分については事業所税の課税対象となる可能性があります。

ただし、個人事業主単独の場合、自宅の事業使用部分が1,000㎡を超えることは通常考えにくく、免税点以下となるケースがほとんどです。免税点以下で過去に納税義務もなければ申告も不要です。

Q8:事業所用家屋の貸付等申告とは何ですか?

貸ビル等の所有者は、事業所税の納税義務者ではありませんが、事業所用家屋の貸付等申告書の提出義務があります。これは、事業所税の課税の適正化のために、課税庁が貸付関係を把握するための制度です。

事業所用家屋貸付等申告書の提出が必要な場合
  • 事業所用家屋の全部または一部を新たに貸し付けた場合
  • 貸付状況に変動があった場合

提出期限:貸付日等から2か月以内(東京都の場合。自治体によって異なる場合あり)

3. 床面積(資産割)の論点

Q9:階段やエレベーター等の共用部分も床面積に含まれますか?

はい、賃借ビルの共用部分(階段・エレベーター・廊下・トイレ等)も事業所床面積に含まれます

ただし、共用部分は専用部分の床面積比で按分計算します。

事業所床面積 = 専用部分の床面積 + 一棟全体の共用部分 ×(当該事業者の専用部分 ÷ 一棟全体の専用部分の合計)
分母には住宅部分も含む:一棟全体の専用部分の合計には、住宅部分(居住の用に供する部分)も含めて計算します。住宅部分も「専用部分」に該当するためです。

Q10:登記面積と現況面積が違う場合はどちらで申告すべきですか?

事業所税の床面積は現況床面積で申告します。登記面積ではありません。

例えば、建物の登記簿上の床面積は900㎡だが、リフォームでベランダ部分を屋内化したため現況の床面積は1,050㎡となっている場合、事業所床面積は1,050㎡として計算します。

固定資産税の課税床面積とは別:固定資産税の家屋評価において課税床面積が変更されていない場合でも、事業所税では現況床面積で判定する点に注意が必要です。リフォーム等で床面積に変動があった場合は、現況に合わせて申告してください。床面積の具体的な求め方は「事業所税の床面積の求め方|壁芯・実務での調べ方と契約書面積の注意点」で解説しています。

Q11:地下倉庫やベランダ・ロフトも床面積に含まれますか?

事業の用に供されている場所であれば、地下倉庫やロフト等も床面積に含めます

ただし、ベランダ・バルコニーは原則として外気に開放された部分のため建物本体の床面積には含めませんが、屋内的用途(事務所用途等)に転用されている場合は床面積に含めることがあります。

部位 床面積算入の判定
地下倉庫・地下事務所 含める
ロフト・小屋裏収納 事業用途で使用されていれば含める
通常のベランダ・バルコニー 含めない
屋内化したベランダ 含める
床面積に算入するかどうかは、その部分が家屋の床面積(壁芯の水平投影面積)として評価されるかによります。ロフトやベランダなどの細かい部位の扱いは、建物の構造や固定資産税の家屋評価、課税団体の運用により判断が分かれることがあります。判断に迷う場合は、固定資産税の家屋評価の床面積を手がかりにしつつ、所管の課税団体に確認するのが確実です。

Q12:保養所・社員食堂・休憩室も床面積に含まれますか?

社員食堂・休憩室は事業の用に供する部分として床面積に含めます。一方、保養所など特定の用途のものは非課税となる場合があります。

具体例
  • 社員食堂:床面積に含めるが、福利厚生施設として非課税の可能性あり
  • 休憩室・更衣室:床面積に含めるが、福利厚生施設として非課税の可能性あり
  • 保養所:従業員の保養を目的とする福利厚生施設であれば非課税
  • 業務にも使用する施設:保養所であっても業務利用があれば非課税にならない

Q13:機械室・電気室・物置はどう扱いますか?

機械室・電気室・物置は、事業の用に供している場合は事業所床面積に含めます

これらは事業活動を物理的に支える設備の収納場所であり、事業活動に不可欠な空間として床面積算入の対象となります。なお、賃借ビルにおける共用の機械室・電気室は共用部分として按分計算の対象になります。

4. 従業者(従業者割)の論点

Q14:アルバイトやパートタイマーは従業者数に含めるのですか?

アルバイトやパートタイマーの取扱いは、呼称ではなく勤務の状態によって判定されます。

具体的には、1日の所定労働時間が正規従業者の4分の3未満であるものは「相当短時間勤務」とされ、免税点判定における従業者数からは除外されます。

勤務状態 免税点判定 給与総額(課税標準)
正規従業者の3/4未満(相当短時間) 除外 含める
正規従業者の3/4以上 含める 含める
免税点判定と給与総額の非対称性:パートタイマーは免税点判定では除外されますが、給与総額(課税標準)には含めます。「パートだから給与も除外」と誤解しないよう注意が必要です。

Q15:役員も従業者に含まれますか?無給役員はどうですか?

役員(取締役・監査役等)も従業者に含まれます

ただし、無給役員(給与の支払いがない役員)は従業者数および給与総額のいずれにも含めません。給与等が支払われていないため、課税対象とすべき実体がないからです。

役員の取扱いをまとめると以下のとおりです。

役員の種類 免税点判定 給与総額
通常の役員 含める 含める
無給役員 含めない 含めない
非常勤役員(給与あり) 含める 含める
使用人兼務役員 含める(高齢者・障害者でも) 含める
役員は高齢者・障害者控除の対象外:65歳以上の高齢者・障害者の給与等は通常控除されますが、役員はこの控除の対象外です。役員報酬は満額が課税標準に算入されます。

Q16:出向者は出向元と出向先のどちらでカウントしますか?

出向者の取扱いは、給与の負担関係によって判定が異なります。

給与負担関係 免税点判定の帰属
①出向元のみが給与支払 出向元の従業者
②出向先が経営指導料等を出向元に支払(法人税法上「給与」として扱われる場合) 出向先の従業者
③出向元と出向先が一部負担 主たる給与を支払う会社の従業者
給与総額は別ルール:免税点判定は「主たる給与支払者」1社のみで判定しますが、給与総額はそれぞれの会社が実際に負担した金額を各社の給与総額に含めます。免税点判定と課税標準の帰属が異なる点に注意。

Q17:在宅勤務者・テレワーク勤務者はどう扱いますか?

在宅勤務者・テレワーク勤務者の取扱いは、算定期間中の出社実態によって判定が異なります。

東京都主税局の見解では、給与等が支払われ、指揮命令関係等が本社との間にある場合は、原則として本社の従業者として取り扱います。

ただし、算定期間中に一度も課税区域内(23区内)の事業所等に出勤しないことが客観的に判断できる場合は、免税点判定上の従業者および課税標準から除かれます。

在宅勤務者の判定のポイント
  • 月1〜2回でも出社実態がある場合は本社の従業者として算入
  • 完全リモートで一度も出社しない場合のみ除外
  • 出社実態の客観的な証明(タイムカード・入退館記録等)が必要

Q18:派遣労働者は派遣元・派遣先のどちらでカウントしますか?

労働者派遣法に基づく派遣労働者は、派遣元の従業者として扱います。給与(賃金)も派遣元の給与総額に含めます。

派遣先では、たとえ派遣労働者が常駐していても、派遣先の従業者および給与総額には含めません。これは、派遣労働者と雇用契約を結んでいるのは派遣元であり、給与を支払っているのも派遣元であることに対応した取扱いです。

派遣先が課税区域外(東京23区外)に派遣している場合:派遣元が23区内にあっても、派遣労働者が課税区域外(横浜市など)へ派遣されている場合は、免税点判定には含めず、その期間中の給与も従業者給与総額から除きます。

Q19:高齢者・障害者の特例とは何ですか?

事業所税では、高齢者(65歳以上)・障害者・雇用改善助成対象者について、給与等を課税標準から控除する特例があります。

区分 対象 取扱い
高齢者 65歳以上(役員を除く) 給与等を全額除く
障害者 所得税・住民税の障害者控除対象者(役員除く) 給与等を全額除く
雇用改善助成対象者 55歳以上65歳未満で、雇用保険法等の助成対象者 給与等の1/2を除く

Q20:従業者数に著しい変動があった場合の取扱いは?

季節雇用や繁閑差の大きい業種では、従業者数の著しい変動があった場合の特例があります。

「著しい変動」とは、課税標準の算定期間中の各月の末日現在における従業者数のうち、最大の従業者数が最小の従業者数の2倍を超える場合をいいます。

この場合、期末日の従業者数ではなく、各月末日の従業者数の合計を算定期間の月数で除した数(みなし従業者数)を期末日の従業者数とみなして免税点判定を行います。

みなし従業者数 = 各月末日現在の従業者数の合計 ÷ 算定期間の月数

5. 免税点・申告

Q21:免税点以下の場合でも申告は必要ですか?

免税点以下の場合、原則として事業所税の納付は必要ありませんが、以下のいずれかに該当する場合は免税点以下申告が必要です。

免税点以下申告が必要な場合(東京23区)
  1. 前事業年度(個人は前年)に事業所税の納税義務を有していた場合
  2. 算定期間末日現在で課税団体内の合計事業所床面積が800㎡を超える場合
  3. 算定期間末日現在で課税団体内の合計従業者数が80人を超える場合

※ この800㎡・80人という基準は自治体により異なる場合があります(例:一宮市は900㎡・90人)。所在地の基準を確認してください。

免税点以下申告は納税は不要ですが、申告書の提出は必要です。提出を怠ると過料の対象となる可能性があるため注意が必要です。詳しくは「事業所税の免税点以下申告|税額ゼロでも申告が必要な場合を解説」の記事をご覧ください。

Q22:期中に事業所を新設・廃止した場合の免税点判定は?

事業所税の免税点判定は算定期間末日の現況で行うため、期中に新設・廃止があった場合の取扱いは以下のとおりです。

期中の変動 免税点判定 課税標準(月割計算)
期末日までに新設 含める(末日現況で判定) 月割計算
期末日までに廃止 含めない(末日不在のため) 月割計算
免税点判定は月割計算なし:課税標準では月割計算を行いますが、免税点判定では月割計算は行わず、末日現況の床面積(または従業者数)でそのまま判定します。例えば、期末日の1か月前に新設した1,200㎡の事業所は、課税標準では100㎡(月割後)ですが、免税点判定では1,200㎡として扱われます。

Q23:申告期限の延長制度はありますか?

事業所税には申告期限の延長制度はありません。法人税のような申告期限延長特例を受けていても、事業所税は事業年度終了の日から2か月以内に申告納付する必要があります。

法人税の申告期限を3か月以内(または6か月以内)に延長している法人でも、事業所税については別途2か月以内に申告納付が必要なので、特に注意が必要です。

災害等やむを得ない理由の場合:災害その他やむを得ない理由により申告期限までに申告できない場合は、「税に係る期限延長申請書」を提出することで申告期限の延長を申請できます。

Q24:申告書を間違えて提出した場合の修正方法は?

申告書の内容に誤りがあった場合の対応は、過大納付か過少納付かによって異なります。

状況 手続き 期限
税額が過少(不足) 修正申告書を提出 速やかに(決定通知前まで)
税額が過大 更正の請求 法定納期限から5年以内
修正申告と加算金:自主的な修正申告であれば、過少申告加算金は減額されることがあります。一方、税務調査による更正処分後の修正申告は加算金が課されます。誤りに気付いたら速やかに修正申告することをお勧めします。詳しくは「事業所税の修正申告と更正の請求」の記事をご覧ください。

Q25:申告書はどこに提出すればよいですか?

東京都の場合、事業所税の申告書は主たる事業所等の所在する区を所管する都税事務所に提出します。

複数の課税団体(東京都・横浜市等)に事業所がある場合は、それぞれの団体ごとに別途申告書を提出する必要があります。

東京都の申告書提出先
  • 事業所税の申告:主たる事業所等の所在する区を所管する都税事務所
  • 事業所等の新設・廃止申告:新設・廃止した事業所等の所在する区を所管する都税事務所
  • 事業所用家屋の貸付等申告:事業所用家屋の所在する区を所管する都税事務所

電子申告(eLTAX)を活用すれば、複数の課税団体への申告も効率的に行えます。

6. 非課税・特例・減免

Q26:当社の事業所等に非課税が適用される可能性はありますか?

事業所税の非課税は、「人的非課税」「用途非課税」の2つに分けられます。営利法人でも該当する可能性がある主な「用途非課税」は以下のとおりです。

用途 代表的な施設
医療施設 病院・診療所(一般企業内の医務室も要件次第)
保育施設 認可保育所、認定こども園、事業所内保育所
教育施設 学校、専修学校、各種学校
社会福祉施設 老人福祉施設、障害者支援施設
福利厚生施設 勤労者の福利厚生施設(保養所等)
防災設備 消防用設備、防災施設等
駐車場 駐車場法に基づく一定の路外駐車場、建築物の付置義務に基づく駐車場

Q27:課税標準の特例と減免はどう違うのですか?

非課税・課税標準の特例・減免は、すべて事業所税を軽減する制度ですが、適用方法と免税点判定での扱いが異なります。

区分 効果 免税点判定での扱い
非課税 課税対象から除外 控除する
課税標準の特例 課税標準を一定割合(1/2、1/4等)控除 控除しない
減免 申告税額の納付段階で減額 控除しない
実務上の注意点:「課税標準の特例」や「減免」の対象となる床面積は、免税点判定の段階では除外できません。非課税床面積と混同しやすいので注意してください。

Q28:減免申請の期限はいつまでですか?

事業所税の減免を受けるには、「事業所税減免申請書」を申告納付期限までに提出する必要があります。

自治体によっては、より厳しい期限を設けている場合があります。例えば高崎市では「申告納期限の7日前まで」とされています。減免を受けたい場合は、早めに所管の課税団体に確認することが重要です。

期限を過ぎると減免を受けられない:減免申請の期限を過ぎてしまうと、その課税期間の減免は受けられなくなる可能性が高いです。減免対象となる施設を保有している場合は、早めに申請手続きを進めることをお勧めします。

7. 会計処理・損金算入

Q29:事業所税の仕訳・会計処理はどうすればよいですか?

事業所税は「租税公課」勘定で処理します。販売費及び一般管理費の区分に表示されます。

実務上は、申告納付時に租税公課として一括で費用計上する方法が最もシンプルです。

基本的な仕訳(申告納付時)
借方 金額 貸方 金額
租税公課 ××× 現金預金 ×××
「法人税、住民税及び事業税」勘定では処理しない:事業所税は「法人事業税」とは別の税であり、租税公課勘定で処理します。「事業税」という名前が似ているため混同しやすいので注意が必要です。詳しくは「事業所税の仕訳・会計処理を完全解説」の記事をご覧ください。

Q30:事業所税は損金算入できますか?

事業所税は損金算入できます。ただし、損金算入時期に注意が必要です。

事業所税は申告納税方式の租税であるため、原則として申告書を提出した事業年度の損金として算入します(法人税基本通達9-5-1)。

具体例:3月決算法人の場合
  • X1年3月期分の事業所税の申告期限:X1年5月31日
  • 申告書を提出した日:X1年5月20日
  • → X1年3月期ではなく、X2年3月期(翌期)の損金として算入
原価算入の特例:製造業・建設業の場合、事業所税を製造原価・工事原価に算入し、損金経理により未払金計上したときは、その損金経理した事業年度に損金算入できる特例があります(法人税基本通達9-5-1ただし書き)。

まとめ

この記事のポイント
  • 事業所税は全国77団体(東京23区+政令指定都市等)で課税される目的税
  • 納税義務者は実際に事業を行うテナント(建物所有者ではない)
  • 賃借ビルの共用部分も床面積に含める(按分計算)
  • 事業所床面積は登記面積ではなく現況面積で判定
  • パートタイマー(正規従業者の3/4未満)は免税点判定では除外、給与総額には含める
  • 役員は従業者に含めるが、無給役員は除く
  • 出向者は給与負担関係で判定(主たる給与支払者)
  • 在宅勤務者は算定期間中の出社実態で判定
  • 免税点以下でも、床面積800㎡超または従業者数80人超は申告必要(基準は自治体により異なる場合あり)
  • 事業所税は申告期限の延長制度なし(事業年度終了の日から2か月以内)
  • 事業所税は「租税公課」勘定で処理、申告書提出時の事業年度に損金算入
事業所税シリーズ 記事一覧
  1. 事業所税とは?仕組みと概要
  2. 事業所税の納税義務者と課税対象
  3. 事業所税の課税標準(資産割・従業者割)の計算方法
  4. 事業所税の免税点判定を徹底解説
  5. 事業所税の非課税・課税標準の特例・減免
  6. 事業所税のみなし共同事業
  7. 事業所税の申告と納付の方法・期限・加算金
  8. 事業所税の仕訳・会計処理を完全解説
  9. 事業所税の申告書(第44号様式)の書き方
  10. 【今ここ】事業所税のよくある質問30選|在宅勤務・パート・役員・出向者の取扱い

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