受取配当等の益金不算入とは|持株比率別の区分と負債利子控除

法人税

法人が他の会社の株式を持っていて配当を受け取ったとき、その配当の全部または一部は、法人税の計算上「益金」に算入しません。これが受取配当等の益金不算入です。配当のもとになった利益にはすでに法人税が課されているため、配当を受けた会社で再び課税すると二重課税になってしまう、という考え方にもとづく制度です。

益金不算入になる割合は、株式の持株比率によって4つの区分に分かれます。区分の判定や負債利子の控除でつまずきやすいため、この記事では国税庁の資料・法人税法23条をもとに、区分ごとの益金不算入額と計算上の注意点を解説します。

この記事のポイント
  • 受取配当等は二重課税排除のため、持株比率に応じて益金不算入になる
  • 完全子法人株式等(100%)は全額、関連法人株式等(1/3超)は全額から負債利子を控除
  • その他株式等(5%超1/3以下)は50%、非支配目的株式等(5%以下)は20%
  • 関連法人株式等の負債利子控除額は「配当の4%」と「支払利子の10%」の低い方
  • 短期保有株式(基準日前後に短期売買)は益金不算入の対象外

なぜ益金不算入になるのか

配当は、配当を支払う会社が法人税を払った後の利益(税引後利益)から支払われます。これを受け取った会社で配当をそのまま益金に算入して課税すると、同じ利益に対して二重に法人税がかかることになります。これを避けるため、受け取った配当を益金に算入しない(益金不算入とする)のがこの制度の趣旨です。

ただし、すべての配当を全額益金不算入にするわけではありません。支配を目的とするような持株比率の高い株式の配当は全額を不算入とする一方、投資目的に近い持株比率の低い株式の配当は、債券投資など他の投資との中立性を保つため、一部だけを不算入とする仕組みになっています。持株比率が高いほど不算入の割合が大きくなる、と理解するとよいでしょう。

持株比率による4区分

受取配当等は、株式の持株比率(保有割合)に応じて次の4区分に分けられ、益金不算入になる割合が異なります。

区分 持株比率 益金不算入額
完全子法人株式等 100% 配当の全額
関連法人株式等 1/3超〜100%未満 配当の全額-負債利子
その他株式等 5%超〜1/3以下 配当の50%
非支配目的株式等 5%以下 配当の20%

完全子法人株式等と関連法人株式等は、配当等の計算期間を通じて継続して保有していることが要件です。一方、その他株式等と非支配目的株式等は、配当の基準日時点での持株比率で判定します。なお、令和4年4月1日以後に開始する事業年度からは、これらの区分の判定にあたり、完全支配関係がある他の法人(100%グループ会社)が保有する株式も合算して持株比率を判定する点に注意が必要です。

同じグループ内の複数の会社で株式を分けて保有していても、令和4年4月以後はグループ全体の保有割合で区分を判定します。単独では1/3以下でも、グループ合算で1/3超となれば関連法人株式等として扱われることがあります。

関連法人株式等の負債利子控除

関連法人株式等(持株比率1/3超)の配当は、原則として全額が益金不算入になりますが、その株式を取得するための借入金の利子に相当する部分は控除されます。これが負債利子控除です。借入で株式を買って配当を得ている場合、その利子は損金になっているため、配当を全額不算入にすると有利になりすぎることを調整する趣旨です。

控除する負債利子の額は、計算が簡素化されており、次のいずれか低い方の金額とされています。

負債利子控除額(いずれか低い方)

(1) 関連法人株式等に係る配当等の額 × 4%
(2) その事業年度の支払利子等の額の合計 × 10%

原則は配当の4%を控除しますが、支払利子の10%の方が小さければそちらを使えます。借入が少なく支払利子がほとんどない会社では、(2)が小さくなり、控除額を抑えられます。完全子法人株式等・その他株式等・非支配目的株式等には、この負債利子控除はありません(関連法人株式等のみ)。

計算例

それぞれの区分で、配当100万円を受け取った場合の益金不算入額を比べてみます(関連法人株式等は配当の4%を負債利子控除と仮定)。

区分 益金不算入額
完全子法人株式等 100万円(全額)
関連法人株式等 96万円(100万円-4%)
その他株式等 50万円(50%)
非支配目的株式等 20万円(20%)

同じ100万円の配当でも、持株比率の区分によって益金不算入額が大きく異なることが分かります。益金不算入額が大きいほど、課税される所得が小さくなり、法人税の負担が軽くなります。

短期保有株式は対象外

配当の基準日以前1か月以内に取得し、その基準日後2か月以内に譲渡した株式(短期保有株式等)に係る配当は、益金不算入の対象になりません。配当を受け取る直前に株式を買い、配当の権利を得たらすぐ売る、といった配当の益金不算入だけを狙った短期売買を防ぐための規定です。

なお、完全子法人株式等は計算期間を通じて100%保有しているものをいうため、短期保有株式等に該当することはありません。短期保有株式等がある場合は、それを除いて各区分の持株比率を判定します。

実務上の注意点

益金不算入は申告で適用する

受取配当等の益金不算入は、会計上は配当を収益(受取配当金)として計上したうえで、法人税の申告書(別表四・別表八(一)など)で所得から減算する形で適用します。会計処理を行ったうえで、申告調整によって益金不算入額を所得から差し引く流れになります。申告書に明細の記載がないと適用を受けられないため、別表の作成が必要です。

外国法人からの配当は対象外

この制度の対象は、内国法人(日本の会社)から受ける配当です。外国法人からの配当には、別に外国子会社配当益金不算入制度などの別の規定があり、本制度とは扱いが異なります。また、保険会社の契約者配当や、協同組合の事業分量配当など、性質の異なる配当は対象外とされているものがあります。配当の種類によって扱いが変わる点に注意してください。

源泉徴収された所得税は控除できる

配当を受け取る際に源泉徴収された所得税は、法人税の申告で所得税額控除として法人税額から差し引けます。益金不算入とした配当部分に対応する源泉所得税も、原則として控除の対象になります。受取配当の処理とあわせて、源泉所得税の控除も忘れずに行いましょう。

まとめ

受取配当等の益金不算入は、二重課税を避けるため、内国法人から受けた配当の全部または一部を益金に算入しない制度です。持株比率に応じて、完全子法人株式等(全額)、関連法人株式等(全額-負債利子)、その他株式等(50%)、非支配目的株式等(20%)の4区分に分かれます。関連法人株式等には「配当の4%」と「支払利子の10%」の低い方の負債利子控除があり、短期保有株式は対象外です。区分の判定とグループ合算、別表での申告調整を正しく行うことが、適用のポイントになります。

この記事のまとめ
  • 二重課税排除のため、内国法人からの配当を持株比率に応じて益金不算入
  • 完全子法人(100%)全額/関連法人(1/3超)全額-負債利子/その他(5%超1/3以下)50%/非支配目的(5%以下)20%
  • 関連法人株式等の負債利子控除は「配当の4%」と「支払利子の10%」の低い方
  • 令和4年4月以後はグループ合算で持株比率を判定
  • 短期保有株式は対象外。別表での申告調整と源泉所得税の控除も必要

※本記事は作成時点の法令・公表資料(法人税法23条、法人税法施行令22条・22条の2・22条の3等)に基づいています。個別の取扱いは事実関係により異なる場合があるため、具体的な判断は最新の条文・通達の確認、または税理士へのご相談をおすすめします。

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